西日本皮膚科
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36 巻, 4 号
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図説
ラウンドテーブル ディスカッション—炎症における細胞反応とその役割—
  • 林 秀男
    1974 年 36 巻 4 号 p. 469
    発行日: 1974/08/01
    公開日: 2012/03/24
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  • 山本 俊輔, 西浦 征志
    1974 年 36 巻 4 号 p. 470-474
    発行日: 1974/08/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    炎症反応における多核白血球(PMN)の浸潤機構について, とくにPMN遊走反応のmediatorとして分離されたlencoegresinを中心に解説した。
  • —白血球顆粒のプロテアーゼを中心として—
    蕨 治言
    1974 年 36 巻 4 号 p. 475-480
    発行日: 1974/08/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    炎症巣における多核白血球の役割にかんする2, 3の実験で, 1)好中球顆粒成分にはelastase, collagenaseらの中性プロテアーゼが存在し, 2)作用させる変性ガンマグロブリンの蛋白濃度にしたがつてPMN顆粒酵素のreleaseが増加し, releaseのメカニズムはplasma membraneの刺激にもとづくactive processである可能性が示唆され, 3)変性ガンマグロブリン免疫複合体にたいしてPMNのchemotaxisが認められ, 4)PMNの顆粒成分によつて基底膜の構造変化がもたらされた, 5)ウサギ膝関節腔に顆粒成分を注入することによつて炎症性変化が観察された。
  • 吉永 秀, 中村 修二, 樋口 安典
    1974 年 36 巻 4 号 p. 481-487
    発行日: 1974/08/01
    公開日: 2012/03/24
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    胸腺細胞, 末梢リンパ組織のリンパ球は植物mitogen, PHAによつて刺激される場合に, 炎症滲出細胞の少量を加えると強く活性化され, DNA合成の増強を認める。このことは炎症滲出液中におけるリンパ球の活性が末梢リンパ組織のそれよりも高いことを説明するひとつの機構と考えられる。この炎症滲出細胞によるリンパ球活性化への協力作用は炎症刺激後48~96時間の細胞を含まない滲出液によつても達成され, また純化したmacrophageをin vitroで刺激することによつても培養上清中に遊離するので, 少なくとも一部はmacrophageによつて産生されることが明らかである。このようなリンパ球活性化のmacrophage依存性はlymphotoxin産生を示標にしても認められる。一方, B cellにたいしては, LPSによつて刺激した場合の脾細胞DNA合成がT cellの存在下においてのみmacrophageによつて抑制されるので, macrophageのB cell抑制作用はT cell機能を通じた間接的なものと考えられる。
  • 神原 武, 前田 省三, 平岡 武典, 杉若 正樹
    1974 年 36 巻 4 号 p. 488-495
    発行日: 1974/08/01
    公開日: 2012/03/24
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    慢性炎症巣につねに浸潤するリンパ球の役割については, ほとんど解つていない。以前からtransformationとtrephocyteとしての役割が提唱されているが, 決定的ではない。最近免疫応答におけるeffeetor cellとして, graft reject reaction, GVHRの場で, 直接標的細胞に鉤着して細胞障害性に働いていることが分つた。またin vitroの研究から, 多くのchelnical mediatorを遊離することが知られている。そしてこれが安易にin vivoの現象の説明に持込まれているが, 実際の炎症の場に存在し, 活性化され, 反応に参加しているという証明はない。われわれは, ツベルクリン反応の場に, macrophage遊走活性と数種のproteaseを見出した。Passive transferの現象からリンパ球そのもののproteaseに注目し, 数種の類似のpassive transferを見出した。そのうちの中性およびアルカリ性proteaseが起炎効果をもつことがわかつたので, これらを中心として, 炎症の場におけるリンパ球の役割の解明を試みている。これは生体の防衛反応の全体の構成の理解に必須のものであると考えている。
  • 吉田 彦太郎, 武 誠
    1974 年 36 巻 4 号 p. 496-502
    発行日: 1974/08/01
    公開日: 2012/03/24
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    種々のアレルギー反応における抗原およびchemical mediators, histamine liberatorなどを用いたskin window法により炎症巣における好酸球, 好塩基球の動きを観察し, 下記の所見をえた。アトピー型即時反応では早期より多数の好酸球増多を認め, ツベルクリン型遅延反応では好酸球は24時間後より少数出現し, 48時間後増加した。好塩基球は即時反応ではほとんどみられなかつたが, 遅延反応では24~48時間後かなり多数出現した。一方DNCB接触アレルギーでは初期にいちじるしい好酸球増多を示し, 48時間後減少, 好塩基球は24時間後より出現し, 48時間後はさらに増加した。また多くのchemical mediatorsを用いたskin windowではeosinophiliaもbasophiliaも認められなかつたが, compound 48/80を用いた場合にはいちじるしい好酸球増多がみられた。なおhistamineのこれら細胞にたいするchemotactic activityの有無は明らかではないが, かりにあつたとしてもきわめて微弱であろう以上の結果から, アレルギー反応におけるeosinophiliaはヒスタミン遊離によつて生じ, 遅延型アレルギーにみられるbasophiliaは涸渇したmast cellを補う目的で血中から動員された好塩基球によるのであろうと考えられた。また好酸球は過量の遊離ヒスタミンを中和し, 抗原抗体複合物を貪食して局所を清掃する機能を発揮し, 好塩基球も炎症治癒に必要なhistamineを遊離し, たがいに相反する機能を有する両者が密接な関係を保ちながら生体防禦という共通目的に向かつて働いているのであろうと推測された。
症例
  • 幸田 弘, 西尾 一方, 占部 治邦
    1974 年 36 巻 4 号 p. 503-510
    発行日: 1974/08/01
    公開日: 2012/03/24
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    本邦における皮膚科領域からの第1例として, 20才女子のhistiocytic medullary reticulosisを報告した。本症例は皮膚原発性である可能性が強い。またhistiocytic medullary reticulosisはmalignant reticulohistiocytosisの一亜型と考えられる。
  • —骨母斑としての解釈—
    日野 由和夫, 幸田 弘
    1974 年 36 巻 4 号 p. 511-514
    発行日: 1974/08/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    11ヵ月女児に生下時より存在した右外眼角部の小腫瘤はとくに増大傾向はなかつたが, 生後3ヵ月ころより腫瘤表面に頭髪様の硬毛を多数みとめるようになつた。入院後摘出および眼瞼形成術をおこない, 以後再発をみない。組織学的に中央部に骨組織, 表皮に多数の成熟した毛包および硬毛をみとめた。従来の記載にしたがえば, 原発性皮膚骨腫といえようが, 毛, 毛包, 骨などをふくめて皮表より突出した腫瘤全体がひとつの奇形と考えられ, 骨と軟骨のちがいはあるが, 臨床的にも組織学的にも類似している軟骨母斑にならい, 骨母斑という名称を提唱した。
  • 野中 薫雄
    1974 年 36 巻 4 号 p. 515-523
    発行日: 1974/08/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    患者は11才女児で家族歴, 既往歴に特記することはない。5才ころより露出部に小水疱形成がはじまり, 痂皮, 瘢痕を残して治癒するようになつた。両側角膜混濁をともなうが視力障害はない。軽度の肝腫大あり, GOT, GPT, γ-GLの軽度上昇をみ, 肝生検にて慢性肝炎(活動型)の診断をえた。皮膚所見では顔面, 手背, 前腕に小水疱, 痂皮局面を作り, 小瘢痕が混在している。皮膚病理組織学的には手背小水疱治癒時の標本で真皮乳頭下層の浮腫および小円形細胞の浸潤でPAS陽性物質の沈着は認めなかつた。ポルフィリン検索では血中, 尿中, 糞便中いずれも正常範囲内であつた。本例はいわゆるhydroa vacciniformeの臨床を呈し, ポルフィリン代謝異常を示さず, 角膜混濁, 慢性肝炎をともなつており, この点について若干の文献的考察をおこなつた。
  • 森下 玲子, 田代 正昭
    1974 年 36 巻 4 号 p. 524-529
    発行日: 1974/08/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    両側肩甲部, 肘頭, 臀部, 下腿屈側, 膝蓋部, 第I, IV指間には扁平黄色腫, 両側手指基節部, 右アキレス腱部に結節性黄色腫を, 両手掌, 指腹部には腱に一致して縦に走る橙黄色の線条がみられ, その母, 兄, 姉にも扁平あるいは結節性黄色腫と高コレステロール血症がみられたfamilial hyperlipoproteinemia type IIと思われる21才, 女性例を報告した。なお血清脂質は, 総コレステロール484mg/dl, β-リポ蛋白1760mg/dl, 燐脂質450mg/dl, 遊離脂肪酸0.453mEq/l, トリグリセライト109mg/dlであつた。
研究
  • 西本 勝太郎
    1974 年 36 巻 4 号 p. 530-538
    発行日: 1974/08/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    1973年5月を中心におこなつた西サモア国の皮膚疾患調査成績を, 同地の風土, 風俗とともに紹介した。調査は, 1)外来診療, 2)学童検診, 3)家庭訪問, などによつておこない, それらにおいてみられた主な皮膚疾患について若干の考察を加えた。疾患としては, やはり湿疹皮膚炎群がもつとも多く, ついで癜風, 白鮮などの真菌症, 膿皮症がつづき, 虫刺症, DLEなどもめだつた。渦状癬も数例みられたが, これらは現在急速に減少しつつあり, また癜風は全住民の約半分を侵すほど蔓延しているにもかかわらず, あまり疾患として重視されていない。そして家族検診により, 癜風の感染が家庭内において起こつていることが推察された。
  • 早川 律子, 上田 宏, 井沢 洋平
    1974 年 36 巻 4 号 p. 539-545
    発行日: 1974/08/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    われわれがおこなつている美容外来を訪れる化粧品皮膚障害の患者は年々, 女子顔面黒皮症など難治のものの占める割合が増加し, 化粧品皮膚障害の治療の難かしさを痛切に感じる。女性の化粧にたいする執念は非常に強いもので, 単に化粧品の禁止を告げるのみでは成果をあげることは難かしく, 患者の化粧をしたいという願望をある程度満足させながら, 原因化粧品を完全に排除する必要がある。そこでわれわれは化粧品皮膚障害の治療方法として, 化粧品の禁止とともに皮膚症状に応じて化粧品に代る物として, 副腎皮質ホルモン含有軟膏またはクリーム→副腎皮質ホルモン含有ローション→パッチテスト陰性軟膏基剤または低香料化粧品→原因以外の一般化粧品(パッチテスト陰性)という一連の外用システムを考え, 30名の外来患者に応用し, 炎症症状にたいしては90%, 色素沈着にたいしては66.7%の有効例をみた。化粧品皮膚炎の治療はパッチテスト陽性化粧品の発見のみではなく, その完全なる排除からはじまるものである。
  • 第1報
    前川 嘉洋, 小野 友道, 坂崎 善門
    1974 年 36 巻 4 号 p. 546-551
    発行日: 1974/08/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    慢性pentachlorophenol(PCP)中毒患者4名の粉瘤中より組織学的, ならびに生化学的に塩素を証明した。また同趣の動物実験では肝臓内にPCPの貯溜を認めたが, 皮膚への蓄積は証明できなかつた。同時に試みた組織ならびに組織化学的検索では, 皮膚, 副腎には特異的変化をみなかつたが肝, 腎にpentachlorobiphenyl(PCB)中毒マウスのそれと類似する所見が観察された。
  • II. RNA分解酵素
    宮河 昭雄
    1974 年 36 巻 4 号 p. 552-554
    発行日: 1974/08/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    1)ラット表皮と毛根抽出液のRNase活性をsensitivityの高いアイソトープ法で測定し, その酵素学的性質を検討した。
    2)表皮RNaseは6.0を中心にbroadなpH曲線を示し, 毛根RNaseはpH7.0を中心にsharpなpH曲線を呈した。
    3)2価陽イオンによつては表皮, 毛根RNaseともほとんど同じような変化を示した。すなわち, Ca++により活性化され, Mg++, Mn++, Co++などによつて阻害された。
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治療
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