西日本皮膚科
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症例
大動脈炎症候群をともなつた壊疽性膿皮症
吉井 恵子大畑 宣久田代 正昭
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1978 年 40 巻 1 号 p. 64-71

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抄録

大動脈炎症候群をともなう壊疽性潰瘍の15才男子例を報告した。壊疽性膿皮症は6年の経過をもち, 一時期軽快したが, 3ヵ月前より再発をみた。当科入院中発見された大動脈炎症候群は過去の症状や臨床記録よりおそらく壊疽性膿皮症の発症にあい前後してみとめられたものと推測された。皮疹の形態およびその変化は典型的で縁下潜蝕性および急速な遠心拡大傾向のみられる大小の潰瘍, 膿疱が顔面, 項部, 四肢を中心に散在性にみられた。赤沈値亢進, 白血球増多, CRP 5+, マントー反応陰性, γ-Gl値軽度上昇, IgG 2900mg/dlなどの所見がみられ, 皮疹部からは一般細菌, 結核菌, 真菌は検出されない。血管造影にて大動脈炎がみとめられ, 右橈骨動脈は触知不能であつた。胃腸透視では潰瘍性大腸炎はみとめられなかつた。副腎皮質ステロイドホルモンおよびサラゾスルファピリジンが奏効した。

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© 1978 日本皮膚科学会西部支部
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