抄録
高知市およびその周辺におけるMicrosporum gypseumによる白癬の12例を報告した。病型別にみると斑状小水疱状白癬9例, ケルスス禿瘡1例, 頭部白癬1例, 頑癬1例であつた。自験例を中心にM. gypseumおよびM. canisによる皮疹の特徴について若干の検討をおこなつた。両者間には体部白癬において相違があり, M. gypseumでは環状皮疹は単発性に生じやや大型であるのに比し, M. canisでは多発性に発症することが多く, 皮疹は比較的小型であつた。また, M. canisでは家族内感染が濃厚であつた。両者とも一般に中心治癒傾向に乏しいが, 炎症症状はM. gypseumのほうが激しいようであつた。