抄録
走査電顕を用いて正常真皮, scleromyxedema, SLE, PSSとアミロイド症の基質と線維成分の立体構造を観察した。像の解釈には組織化学と透過電顕を併用した。正常真皮乳頭層とscleromyxedemaではグルタールアルデハイドとオスミウム酸の二重固定では基質を観察できず, ムコ多糖を固定するFAC固定を行ない, 菌ヒアルロニダーゼ消化と対比した。線維成分に異常のあるSLE, PSSではグルタールアルデハイドとオスミウム酸の二重固定で観察した。皮膚アミロイド症のアミロイド細線維は通常の走査電顕では観察不能であり, 臨界点乾燥と電界放射型走査電顕で観察した。これらの観察結果と解釈を記載するとともに, 走査電顕の真皮への応用上での2, 3の問題点も論じた。