抄録
最近, 酒さ様皮膚炎5例, 口囲皮膚炎3例を経験した。年令は28才から53才にわたり, 全例女性であつた。酒さ様皮膚炎ではフッ素配合ステロイドを3∼15年間用いており, そのうち3例は化粧の下地として毎日用いていた。また素因として3例に血管運動神経の過敏状態がみられた。口囲皮膚炎例中2例は使用ステロイドは不詳であるが, いずれも6ヵ月∼1年間使用していた。治療としてハイドロコーチゾンブチレート軟膏, 硼酸亜鉛華軟膏の外用, ビタミンB2, パンテチン, テトラサイクリンの内服をおこなつた。毛細血管拡張には電気分解法を用いた。酒さ様皮膚炎, 口囲皮膚炎の発現には素因が関係しているが, とくに前者ではステロイドの塗布法, 期間なども関与していること, および毛細血管拡張, 皮膚萎縮はステロイドの薬理作用によるものと考えた。