西日本皮膚科
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研究
各疾患より分離されたExfoliatin産生黄色ブドウ球菌の薬剤耐性ならびに重金属耐性
二木 昇瑞二木 昇平平山 芳細谷 律子辻 和男細川 良三皿井 靖長石川 友章ジンヨン·ピサヌボン
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1978 年 40 巻 6 号 p. 1159-1163

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抄録

Exfoliatim(Ex)産生黄色ブドウ球菌(ブ菌)がSTENやimpetigoの原因であることは広く知られている。著者らはこのEx産生ブ菌がSTENやimpetigo以外の疾患からも分離されることを認めさらにこれらブ菌について薬剤および重金属耐性を検索し, これらを疾患別, Exの血清型別, ファージ型別に検討したところ, つぎのごとき結果をえた。
1) Ex産生ブ菌がSTENやimpetigo以外の皮膚疾患からも分離され, 病巣皮膚, 鼻腔, 咽頭から分離されたブ菌中に占めるEx産生ブ菌の陽性率はそれぞれ29%, 20%, 20%である。
2) Impetigoの鼻咽腔におけるEx産生ブ菌の検出率がそれぞれ63%, 86%と高いことからSTENのみならずimpetigoでも治療には抗生物質の内服併用が必要であると思われる。また抗生物質は現在のところCEXがもつとも効果的であると思われる。
3) Ex非産生ブ菌と産生ブ菌について薬剤耐性を比較すると一般にEx非産生株により多くの耐性株が認められるが耐性頻度の高いPCやEMなどにくらべ耐性頻度の低いCEXに有意の差が認められる。
4) 薬剤や重金属耐性をファージ型別に検討すると, I群ついでNT群に多くの耐性株が見られるのにたいしII群は少ない。
5) 環境の汚染度はとくにSTENやimpetigoを発症させる重要な因子とはならない。

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© 1978 日本皮膚科学会西部支部
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