1979 年 41 巻 3 号 p. 410-417
1) 人工気象室(温度35℃, 湿度60%)を用い, 健康成人女子10名の顔面に4種の一連の化粧を1回行なつた状態で皮膚温, 皮膚pH, アルカリ中和能, 発汗量を測定した。皮膚温は若干上昇し, 皮膚pHは化粧直後上昇し, その後前値に近づき, アルカリ中和能の変動は軽度であつた。発汗量は若干阻止される傾向があつた。
2) 人工気象室(温度30℃, 湿度60%)で前腕屈側を用いて4種の一連の化粧を3週間行なつたあとの皮膚温, 皮膚pH, アルカリ中和能, 三色光線ボックスを用いて発汗量, 皮脂量, 皮脂の脂肪酸構成の測定を行なつた。各化粧法とも化粧を行なう前と1週後, 2週後, 3週後の皮膚機能に異常所見は認められず, 化粧負荷による変動より被検者の個人差による変動の方が大きく, 各検査において有意差は認められなかつた。したがつて刺激およびアレルギー反応をおこさない健康皮膚にたいする化粧負荷は皮膚機能に異常を来たさないものと考える。