1981 年 43 巻 1 号 p. 47-50
金製剤による薬疹の発生機序を検討する目的で金製剤によるリンパ球幼若化試験(LTT)を行なつた。対象は慢性関節リウマチ(RA)患者で金製剤による治療中に何らかの薬疹を発生した症例と,対照として金製剤未使用症例とである。薬疹患者11例中2例に金製剤によるLTT陽性をみとめた。PHAによるLTTでは大多数の患者で著明な幼若化率の低下がみられたが,薬疹群と対照群との間に差はなかつた。薬剤誘導性リンパ球幼若化反応は特異的反応であり,リンパ球機能のある程度抑制された状態でも有意に反応しうると考えられ,金製剤による薬疹のあるものについてはその発生に細胞性免疫機構の関与する可能性が示唆された。