1981 年 43 巻 2 号 p. 226-229
自験例(33才女子)は約15年前左足蹠に外傷をうけ,その5年後に皮下腫瘤が出現,漸次増大,増加したため受診し全摘出術を施行した例である。摘出した腫瘤はそれぞれ連続性を持たない2個の表皮嚢腫と1ヵ所の異物肉芽展性変化より成り,いわゆるtraumatic epithelial cystと考えられた。このようなtraumatic epithelial cystについてはすでに諸家の記載に詳しいが自験例のごとく1部位に多発した例は過去15年間の本邦皮膚科領域の報告にも例がなく,比較的まれな症例と考えられる。