西日本皮膚科
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ワークショップ—皮膚科学における最近の免疫学の進歩—
近年明らかとなった免疫現象とその意味づけ
—角層下の炎症反応を中心として—
田上 三朗
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1981 年 43 巻 3 号 p. 380-384

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抄録

角層下の無菌性膿疱の形成に特徴づけられる乾癬,膿疱性乾癬,角層下膿疱症,掌蹠膿疱症などいずれの病変部角層においても分子量12,500 daltonsの白血球走化因子が証明される。しかも免疫学的にこのなかには補体活性化で放出されるいわゆるanaphylatoxinといわれC3,C5由来のpeptideの存在が確かめられた。これらのことにもとづき角層の病変形成に果す役割,とくに補体活性化につき考えた。白癬においては真菌抗原に対する接触過敏症が生じ表皮増殖の亢進の結果角層内の菌の排除が行なわれる。しかし不十分であると菌由来の白血球走化因子と補体由来の白血球走化因子の働きによつて菌のいる角層下に膿疱が形成され,乾癬にみられると同様激しい表皮増殖と落屑が起り,菌が排除される機序が働くことを論じた。

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© 1981 日本皮膚科学会西部支部
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