ヒト脂腺細胞内脂質滴の走査電顕的観察に対するスチレン樹脂割断法および酢酸イソアミル割断法の適性を比較検討し,以下の所見を得た。
1) スチレン樹脂割断では,脂質滴が融出しやすいのに対して,酢酸イソアミル割断ではその形態がよく保たれていた。従つてスチレン樹脂割断法は脂質滴と周囲細胞質との関係の観察に適するのに対し,酢酸イソアミル割断法は脂質滴自体の形態観察に適していると考えられた。
2) スチレン樹脂割断法による観察の結果,脂質滴が小胞状滑面小胞体と連絡していることあるいは隣接脂質滴が互いに融合することが示唆された。
3) 酢酸イソアミル割断法による観察の結果,脂質が脂質滴の成熟に伴つて質的ならびに立体構造的に変化することが示唆された。
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