抄録
Mair & Day法のわれわれの改良法で, 各種皮膚疾患を有する外来および入院患者のうち, 硼酸亜鉛華軟膏を単独で, または市販ステロイド軟膏との合剤で外用している各17例について, 血清·尿中の硼素を定量した。外来·入院とも, 大部分の症例で硼酸の経皮吸収はないか, または僅かであるが, 恵皮部潰瘍に貼布した2例, 糜爛の著しい尋常天疱瘡, スチーブンス·ジョンソン型薬疹各1例, 計4例の表皮欠損を呈する例のほか, 膿疱性乾癬, 紅皮症の各1例でも, 血清·尿とも硼素量高く, 明らかな経皮吸収が認められ, 血中濃度が文献上の中毒量におよぶもの, 塗擦量の1/4が吸収されたと考えられるものがあつた。ステロイド剤と合剤としたとき, 経皮吸収が妨げられることも観察された。1回尿のクルクマ試験紙法(定性)は実用に供し得るものではなかつた。文献的考察と合わせ, 硼酸亜鉛華軟膏の廃止を訴えた。