西日本皮膚科
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症例
皮膚原発を思わせたB Cell Lymphoma
—剖検例の報告と統計的観察—
竹内 吉男大西 忠博亀田 典章
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1982 年 44 巻 2 号 p. 153-158

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抄録

症例: 69才男子。1ヵ月前より左三角筋部に37×35×7mm, 紫紅色ドーム状弾性硬腫瘤, 右腋窩上部, 背部に皮下結節, 浸潤性紅斑が多数発生。腫瘤組織像は不明瞭ながらnodular patternを示し, large non-cleaved cellが主体。免疫酵素組織化学検索上, 一部腫瘍細胞の細胞質にIgM, kappaがmonoclonalに認められた。腫瘤組織単核細胞はE-rosette 19%, Sm-Ig 41.3% 。以上よりB cell lymphomaと診断。IgG, A, M中等度低下。DNCB (-)。VEMP療法開始8週後皮疹消失するも, その1ヵ月後肺炎で死亡した。剖検所見上, 皮膚以外の臓器に明らかな腫瘍組織の残存は確認されなかつた。その他の検査成績および臨床経過をあわせ, 皮膚原発B cell lymphomaを疑わせた症例である。また皮膚病変を認めたB cell lymphomaの本邦報告例(自験例を含めて10例)について統計的観察を行い, 若干の考察を加えた。

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© 1982 日本皮膚科学会西部支部
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