西日本皮膚科
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44 巻, 2 号
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図説
症例
  • —剖検例の報告と統計的観察—
    竹内 吉男, 大西 忠博, 亀田 典章
    1982 年 44 巻 2 号 p. 153-158
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    症例: 69才男子。1ヵ月前より左三角筋部に37×35×7mm, 紫紅色ドーム状弾性硬腫瘤, 右腋窩上部, 背部に皮下結節, 浸潤性紅斑が多数発生。腫瘤組織像は不明瞭ながらnodular patternを示し, large non-cleaved cellが主体。免疫酵素組織化学検索上, 一部腫瘍細胞の細胞質にIgM, kappaがmonoclonalに認められた。腫瘤組織単核細胞はE-rosette 19%, Sm-Ig 41.3% 。以上よりB cell lymphomaと診断。IgG, A, M中等度低下。DNCB (-)。VEMP療法開始8週後皮疹消失するも, その1ヵ月後肺炎で死亡した。剖検所見上, 皮膚以外の臓器に明らかな腫瘍組織の残存は確認されなかつた。その他の検査成績および臨床経過をあわせ, 皮膚原発B cell lymphomaを疑わせた症例である。また皮膚病変を認めたB cell lymphomaの本邦報告例(自験例を含めて10例)について統計的観察を行い, 若干の考察を加えた。
  • —日光角化症より進展した浸潤癌—
    成田 博実, 井上 勝平, 緒方 克己, 外山 望, 青木 洋子, 岡崎 美知治, 菊池 一郎
    1982 年 44 巻 2 号 p. 159-166
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    日光角化症より進展した浸潤癌の3例を報告した。2例はリンパ節転移, 1例は局所破壊性浸潤と肺転移を示した。2例は死亡した。日光変性帯を越えて真皮深層に浸潤増殖した症例は転移しやすく, 不充分な切除や凍結療法を行なうと局所再燃が生じやすい。日光角化症から進展した浸潤癌を日光角化症癌solar keratosis carcinomaという疾患概念で取り扱うことは本症の予後を推測し, 治療などを選択する上からも役立つことを強調した。
  • 大神 太郎, 堀 真, 鳥山 史, 穐山 富雄, 笹岡 和夫
    1982 年 44 巻 2 号 p. 167-174
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    悪性変化を伴つた疣贅様表皮発育異常症の3例を報告した。症例1は31才女子, 症例2は25才男子, 症例3は26才男子である。全症例で家族歴に血族結婚があり, 症例1, 2は同胞例で他に2名の同症患者がみられた。3例とも典型疹は幼少時に発症し, 20才過ぎから黒褐色腫瘤を併発してきた。組織学的に, 典型疹の光顕所見はすべて, 一般の扁平疣贅にみられる空胞細胞とは趣きを異にした大型の澄明変性細胞を表皮中層から顆粒層にかけて認め, 黒褐色腫瘤部はBowen病様の組織所見を呈した。電顕的には, 症例3で扁平疣贅様皮疹部からウイルス粒子を証明したが, Bowen病様腫瘤部からは見い出し得なかつた。
  • 池谷 敏彦, 高間 弘道
    1982 年 44 巻 2 号 p. 175-181
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    フェノバルビタールに過敏性を示した伝染性単核球症を報告した。症例はEvansの診断基準のすべてを満足し, かつフェノバールによる誘発試験で皮疹の再現をみた。EBウイルス抗体価を経時的に測定し, VCA(IgG)およびVCA(IgM)の著明な上昇をみたが, EBNAは発症直後より80倍を示し, 全経過を通じて変動しなかつた。以上より本症例は既感染EBウイルスが薬剤アレルギーの状態に感応して再活性化したために発症したのではないかと考えられた。
  • 大山 克巳, 早川 和人, 加茂 紘一郎
    1982 年 44 巻 2 号 p. 182-187
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    19才男子の足蹠に掌蹠膿疱症様皮疹を伴つたeosinophilic pustular dermatosisの1例を経験した。本邦における本症報告例は自験例も含めると66例を数える。本邦例を文献的に考察した結果, 本症に伴う掌蹠の皮疹は66例中19例(29%)に認められ, 合併症としては高率であることから部分症状と考えられること, また名称に関しても掌蹠の皮疹を考慮にいれ, 従来用いられているeosinophilic pustular folliculitisとするよりもeosinophilic pustular dermatosisとする方が妥当であると考えられることなどの結論を得た。
  • 清水 正之, 水谷 仁, 杉本 憲治, 谷口 芳記
    1982 年 44 巻 2 号 p. 188-193
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    症例: 28才男子。約3年前人工毛植毛術を頭頂部に受けたが, 6ヵ月前より血痂, 痂皮, 膿疱を伴う浸潤性紅斑が出現したため来院した。膿疱よりStaphylococcus aureusを検出した。組織学的に真皮乳頭下層より, 異物巨細胞を混じるリンパ球, 組織球よりなる密な細胞浸潤をみとめ, 人工毛周囲組織の電顕的観察では, 真皮浅層の人工毛は正常角化を有する角質細胞がとり囲み, 周囲にさらに線維芽細胞が存在するが, 角質細胞の最外層のhalf desmosome, basal laminaは存在しない。真皮深層では人工毛周囲は線維芽細胞が層状にとり囲む所見をえた。人工毛には自然脱落を防ぐために構造上一重結びあるいはループ状小結節が作られているが, 逆にこれは炎症時の脱落を困難にしていると考えた。
研究
  • I. ヒト, マウス, モルモットの赤血球δ-Aminolevulinic Acid Dehydrase活性
    村山 史男
    1982 年 44 巻 2 号 p. 194-201
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    マウス, ヒト, およびモルモットの赤血球δ-aminolevulinic acid dehydrase(ALA-D)活性をGibson法を簡略化した方法で測定した。活性値はマウス0.37±0.25, ヒト0.70±0.33, およびモルモット2.49±0.84μmol PBG/ml pcv/hで, これらの活性はそれぞれの赤血球中のprotoporphyrin(PP)量に比例していた。ヒト赤血球ALA-D活性は男0.78±0.30, 女0.62±0.35μmol PBG/ml pcv/hで, とくに統計学的に有意な性別差はみとめなかつた。Griseofulvin(GF)投与によるGF-induced protoporphyriaマウスの赤血球ALA-D活性は0.51±0.43μmol PBG/ml pcv/hで正常群との間に有意差はみとめなかつたが, 赤血球PP量はGF投与群の方が著明に上昇していた。また, GF投与モルモットの赤血球ALA-D活性は2.69±1.53μmol PBG/ml pcv/hで, この値も正常群との間には有意差はなく, 赤血球PP量はマウスの場合と同様GF投与群の方が著明に上昇していた。この結果から, 正常なポルフィリン代謝過程においてはALA-D活性はその律速酵素であるδ-aminolevulinic acid synthetase活性の指標となり得るが, ポルフィリン代謝異常をきたした場合にはその指標となり得ないことが示唆された。Porphyria cutanea tarda患者2例から採取した16検体の赤血球ALA-D活性は平均0.33μmol PBG/ml pcv/hで, 正常活性値に比し低下する傾向が認められた。
  • 花田 勝美, 羽田 知子, 山本 雅章, 千代谷 成史
    1982 年 44 巻 2 号 p. 202-207
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    血清亜鉛が低下を示した膿疱性ざ瘡, 尋常乾癬, 全脱毛症, Buerger病, 脂漏性湿疹など各種皮膚疾患40例に亜鉛療法を試みた。亜鉛の投与にしたがい, 有効群では血清亜鉛の著しい上昇をみる例が多かつたが, 無効群では軽度上昇もしくは低下をみた。有効例はそれぞれの疾患でみられたが, 適応症を決めるまでにはいたらなかつた。投与中, 消化器症状6例(15%), 血清鉄の低下4例(44%), 血清銅の低下5例(42%)がそれぞれ認められた。
講座
  • —急性発疹症との鑑別の考え方—
    山本 一哉
    1982 年 44 巻 2 号 p. 208-212
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    小児を対象とする診療を行なう際には, 常に急性発疹症患者に遭遇する機会があるといえるであろう。とくに皮疹が主訴となる小児皮膚科では, その患者が本来の意味での皮膚疾患患者であるか, あるいは急性発疹症の疑いがあるかを即断し, それぞれに対して適当な処置をとらねばならぬ立場となることがしばしばである。このような場合の鑑別の要点を, 問診, 視診, 触診などを中心にきわめて実際的に述べた。要するに小児患者に対しては内科的診察法の一部を併用して診療する習慣を持つべきであるといえよう。
治療
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