西日本皮膚科
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症例
人工毛植毛後にみられた皮膚炎
清水 正之水谷 仁杉本 憲治谷口 芳記
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1982 年 44 巻 2 号 p. 188-193

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抄録

症例: 28才男子。約3年前人工毛植毛術を頭頂部に受けたが, 6ヵ月前より血痂, 痂皮, 膿疱を伴う浸潤性紅斑が出現したため来院した。膿疱よりStaphylococcus aureusを検出した。組織学的に真皮乳頭下層より, 異物巨細胞を混じるリンパ球, 組織球よりなる密な細胞浸潤をみとめ, 人工毛周囲組織の電顕的観察では, 真皮浅層の人工毛は正常角化を有する角質細胞がとり囲み, 周囲にさらに線維芽細胞が存在するが, 角質細胞の最外層のhalf desmosome, basal laminaは存在しない。真皮深層では人工毛周囲は線維芽細胞が層状にとり囲む所見をえた。人工毛には自然脱落を防ぐために構造上一重結びあるいはループ状小結節が作られているが, 逆にこれは炎症時の脱落を困難にしていると考えた。

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© 1982 日本皮膚科学会西部支部
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