1983 年 45 巻 1 号 p. 65-70
種々の病期の梅毒患者76例に対し, AMPC製剤であるSawacillinを経口投与することによつて主にSTS抗体価の推移からその治療効果を検討し, 早期梅毒例では100%の有効率を得た。晩期梅毒や成人先天梅毒例では有効率は低値であつたが, これは大部分がすでに治癒した症例であつたためと考えられた。さらに有効性を確認するために早期梅毒のかなりの症例について分画TPHA法を施行し, 梅毒IgM抗体が投与後速かに減少ないし消失することが証明された。副作用については, Jarisch-Herxheimer反応が比較的多くみられたが, 消化器症状や肝機能異常などは低率であつた。以上より, Sawacillinが梅毒に対して非常に優れた効果を有し, かつ安全性の高い薬剤であることが確認された。