西日本皮膚科
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症例
偽腺性有棘細胞癌の4例
小林 まさ子藤田 優
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1983 年 45 巻 5 号 p. 759-764

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抄録

症例1: 76才男子。左膝蓋部の扁平隆起性腫瘤。組織像では有棘細胞様細胞の索状増殖があり, その辺縁に棘融解と裂隙形成を認め, 腺様構造をとる。正常皮膚との移行部には老人性角化腫の所見を認める。症例2: 81才男子。左第3指背の表面潰瘍を呈する腫瘤。周辺に慢性放射線皮膚炎を認める。組織学的には胞巣全体が腺様構造をとる異型性の強い腫瘍細胞よりなる。症例3: 41才男子。熱傷瘢痕上に生じた, 左外踝部の表面肉芽様腫瘤。放射線照射, 化学療法により消退したが再発, 皮膚および肺, 腰椎に転移を来して死亡した。原発巣ではごく一部, 腰椎転移巣では大部分が, 腺様構造をとる有棘細胞癌であつた。症例4: 75才男子。右下腹部の中央が潰瘍化した腫瘤。組織学的には柱状, 分枝状に増殖した腫瘍巣の中心に棘融解と個細胞角化を認め, 腺様構造をとる。発生母地の違い, 組織像の違いは, 本症の組織発生を考える上で興味深いと思われた。

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© 1983 日本皮膚科学会西部支部
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