西日本皮膚科
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症例
軟骨組織を伴つた巨大色素性母斑
—光顕的·電顕的観察—
佐藤 紀夫鈴木 正夫長尾 貞紀飯島 進
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1984 年 46 巻 2 号 p. 521-529

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抄録

生後21日, 男児の先天性巨大色素性母斑を光顕的·電顕的に検討した。生検5ヵ所はすべて複合母斑および神経線維腫様構造よりなるものであつたが, 「噴火口状結節」では硝子様軟骨, 平滑筋束を認めた。また軟骨組織内にmelanosomeをもつ軟骨細胞も認めた。文献的に神経櫛は色素産生細胞, 神経節などを形成し, なかでもmesectodermとよばれる神経櫛由来の「間葉」は頭部·頸部の骨, 軟骨, 結合織, 平滑筋を形成するとされており, またmesectoderm由来と考えられる腫瘍も報告されている。これらのことから自験例の母斑細胞, 軟骨, 結合織, 平滑筋を含めた巨大色素性母斑全体を, 神経櫛の先天的異常に起因するものと考えた。

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© 1984 日本皮膚科学会西部支部
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