西日本皮膚科
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統計
川崎医科大学附属病院における帯状疱疹入院例の統計的観察
下田 淳子植木 宏明
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1984 年 46 巻 3 号 p. 762-768

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抄録

昭和49年3月より, 昭和57年12月までの約9年間に, 川崎医大皮膚科に入院した帯状疱疹患者102例につき, 統計的観察を行つた。年度別発症頻度は, 昭和57年で帯状疱疹患者の占める割合は9.9%であり, 全体的に軽度増加傾向を認めた。発症時期は, 年間を通じてほぼ同じような分布を示し, 性別では, 女子45例, 男子57例で若干男子に多く, 発症年令は20代と60代に多い二峰性ピークを認めた。発生部位は躯幹, ついで頭部顔面に多く, 基礎疾患では, 糖尿病とSLEが目立つた。SLE患者については, 帯状疱疹発症前後のANF, 抗DNA抗体, CH50の推移をみたが, 有意な変動を認めなかつた。また, アンケート調査を施行し, 返答のあつた64例について, 疼痛の残存期間や程度について分析した。皮疹治癒後1ヵ月以内に疼痛が消退した例は73.4%, 6ヵ月以上におよんだものは9.4%であり, 高令者では疼痛が長く残存する傾向がうかがわれた。特殊な例として, 帯状疱疹後脊髄炎の合併例, Ramsay-Hunt症候群についても触れた。

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© 1984 日本皮膚科学会西部支部
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