西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
研究
Bloch型老人性疣贅の微細構造的, 形態計測学的検討
—正常表皮との比較を中心に—
西山 和光麻上 千鳥越智 敬三藤田 英輔
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 210-217

詳細
抄録

Bloch型老人性疣贅の2例について, 症例相互間の相違および正常の被覆表皮, 毛包漏斗および峡部との部位的類似性に注目して, 微細構造的に比較検討するとともに, トノフィブリルの発達度をデスモゾーム接着板の最大長およびデスモゾーム·トノフィブリル複合体面積をパラメーターとして形態計測学的に比較検討し, 以下の結果を得た。1) 症例1では種々の程度にグリコーゲン顆粒を有しており, またトノフィブリルの発達度も細胞によつて異なつていた。核は核仁糸が明瞭で分散クロマチンが多く正常表皮よりも高い細胞活性にあることが示唆された。2) 症例2では, トノフィラメントは豊富であるがトノフィブリルの束形成の傾向に乏しく, また中等量のグリコーゲン顆粒を有する細胞が多かつた。核は核仁糸が不明瞭で濃縮クロマチンが多く症例1よりも細胞活性の低いことが示唆された。3) 2例のいずれにも被覆表皮あるいは毛包漏斗ないし峡部に類似の所見が混在して認められた。

著者関連情報
© 1984 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top