西日本皮膚科
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46 巻, Suppl 号
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山口大学医学部皮膚科教室開講35周年記念号
統計
  • 岡崎 泰典, 麻上 千鳥, 浪花 志郎, 久本 和夫, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 11-15
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年から同57年までの20年間に山口大学皮膚科を受診した熱傷患者について臨床的, 統計的観察を行い以下の結果を得た。1) 熱傷患者総数は543例で, 同期間の外来総患者数の0.92%を占めた。年次的には昭和54年度に最高値を示したが, とくに一定の傾向はみられなかつた。2) 性別では男子257例, 女子286例で, 性差は1:1.1と差はみられなかつた。3) 年令別には0∼5才の乳幼児に37.4%と最多で, 次いで20∼29才に多く, 2峰性の分布を示した。4) 月別頻度は1月に最高で, 6月に最低であつた。季節的には冬期, 春期, 夏期, 秋期の順に多かつた。5) 原因別には液体, 固体, 気体の順に多かつたが, それらを細目別にみると熱湯例が28.9%と最も多かつた。6) 年令別, 性別に受傷原因をみると, 液体では0∼5才の乳幼児に48.0%と圧倒的に多かつたが, 性差は明らかでなかつた。固体でもほぼ同様の傾向が認められた。気体では20∼29才および30才代以上に多く認められ, 0∼5才の乳幼児には比較的少なかつた。また受傷原因中最多の熱湯例は0∼5才の乳幼児に多かつた。7) 受傷部位は下腿, 手, 大腿の順に多かつた。8) 熱傷深度別ではII度までが, 75.5%と最も多く, 次いでIII度, I度, IV度までの順に多かつた。9) 死亡例は15例で全熱傷例の2.8%を占めていた。
  • 浪花 志郎, 麻上 千鳥, 原 紀正, 岡崎 泰典, 白石 達雄, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 16-21
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年∼57年の20年間の山口大学医学部皮膚科教室の入院新鮮熱傷症例で輸液を必要としたのは計48例であり, うち男子12例および女子3例, 計15例が死亡し, 死亡率は31%を示した。この20年間における前半と後半との各10年間, Evans法とBaxter法との各公式が用いられた年代間, およびICUの協力が得られる以前と以後との各時期間におけるそれぞれの死亡率には有意差が認められなかつた。成人例および幼小児例中の受傷面積60%以上の症例に関する死亡率はそれぞれ82%および40%で, 成人症例の方が幼小児例よりも予後は不良であつた。また老人症例では受傷面積が15∼30%でも, 死亡率は80%で, 予後はきわめて不良であつた。予後に影響を与えた因子について検討した結果, 成人症例のショック期では急性腎不全, 成人症例の感染期以降では緑膿菌感染, また幼小児および老人症例では呼吸器系の障害が, それぞれ重要な問題として指摘された。
  • 西岡 和恵, 麻上 千鳥, 西山 和光, 安野 秀敏, 森 洋子, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 22-30
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年から同57年までの20年間に, 山口大学皮膚科を受診した光線皮脂症は517例(男子236例, 女子281例)で, 外来患者総数に対する割合は0.9%であつた。年度別患者数は昭和51年以降やや減少傾向にあり, 初診月は7月を最高に4月から9月に多かつた。病型では, 光線過敏症型薬疹141例, 多形日光疹31例, ポルフィリン症17例, 色素性乾皮症15例, 光接触皮膚炎11例, 日光皮膚炎10例, 種痘様水疱症5例, 日光蕁麻疹2例, および精査が不充分で病理不明とした光線過敏性皮膚炎が285例であつた。光線過敏症型薬疹中, 検査で陽性であつた確診例は21例(14.9%)で, うち12例がサイアザイド系降圧剤によるものであつた。また本型のうち34例は光線性白斑黒皮症型であつた。ポルフィリン症は晩発性皮膚ポルフィリン症11例, 骨髄性プロトポルフィリン症4例, コプロポルフィリン症2例であつた。色素性乾皮症では, 発病年令が生後6ヵ月以内の群で, 知能低下, 身体発育異常を伴う例が多く, また若年で腫瘍性変化を生ずる傾向がみられた。
  • 浪花 志郎, 麻上 千鳥, 西岡 和恵, 岡崎 泰典, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 31-36
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    教室において最近20年間に経験された職業性皮膚疾患のうち, 接触皮膚炎に注目してみると, ゴム皮膚炎57例, セメント皮膚炎26例, 農薬による皮膚炎12例, 植物皮膚炎4例, 化学熱傷16例, 化学工場内発生皮膚炎13例およびその他の皮膚炎18例, 計146例で, これらの臨床的, 統計的観察によつて以下の諸点が興味深く考えられた。1) ゴム配合剤およびセメント含有微量金属の貼布試験陽性例では, 2-メルカプトベンゾチアゾールおよび重クロム酸カリウムによる陽性頻度が高かつた。2) 化学熱傷では, リン酸曝露の1例が死亡した。3) 某化学工場に発生した芳香族炭化水素化合物の2-アミノ-4-クロールフェノールおよび4-メチルスルホニル2,6ジニトロ NN ジプロピルアニリンの接触過敏性皮膚炎では交叉感作の問題が重要と考えられた。
  • 倉田 三保子, 麻上 千鳥, 西岡 和恵, 永井 純子, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 37-40
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年4月から57年12月までの20年間における化粧品皮膚炎の教室例433例について臨床的, 統計的検討を行い, 以下の結果を得た。1) 本症患者数の外来患者総数に対する年度別頻度には, 特記すべき変化は認められなかつた。2) 性別では, 男子10例に対し女子423例と女子に圧倒的に多かつた。3) 年令別では, 20∼40才代に80%と最も高頻度であつた。4) 化粧品貼布試験の1例当たり陽性件数は後期の10年において増加傾向を示した。5) 種類別貼布試験では, メーキャップ化粧品類の陽性率は基礎化粧品類, 洗浄化粧品類および頭髪用化粧品類のそれよりも低かつた。基礎化粧品類中では, 乳液, クリームおよび化粧水は同程度の陽性率を示したが, メーキャップ化粧品類ではファンデーションが最高の陽性率を示した。
  • 安野 秀敏, 麻上 千鳥, 浪花 志郎, 越智 敬三, 浜中 すみ子, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 41-48
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    山口大学皮膚科教室の最近の約20年間における薬疹例について, 統計的観察を行い, 以下の結果を得た。薬疹疑診例総数は1,348例で, 外来患者総数の2.3%に相当していた。年度別頻度は, 前半の12年間(前期群)では1.9∼3.5%であつたのに対し, 後半の7年間(後期群)では1.6∼2.3%と減少しており, また年令別頻度は, 後期群では高年令層の占める割合が増加していた。性比では, 男:女=1:1.23と女子にやや多かつた。確診例での皮疹型の推移は, 後期群では前期群に比べて麻疹型, 蕁麻疹型および苔癬型の増加ならびに固定疹型の減少が, また原因薬剤の推移は, βラクタム系抗生物質, シンナリジンおよびチオプロニンによる症例の増加ならびに, クロラムフェニコール, サルファ剤を含む化学療法剤およびピリン系薬剤による症例の減少が, それぞれ認められた。GPT上昇例の頻度は, 後期群では前期群の3倍以上に上昇していた。貼布試験陽性例は, 原因薬剤が抗生物質, とくにペニシリン, およびチオプロニンの例に多かつた。Skin window testは, 貼布試験より陽性率が高く, 有用なin vivo testと考えられた。再投与試験陽性例で皮疹誘発に要した薬剤量および時間は, 皮疹型によりかなり相違する傾向が認められた。検査を行つた6例中2例に, ペニシリンとセファロスポリンとの間の交叉反応を認めた。確診例中12例は重複薬疹例で, それらのうち7例では, 一方の原因薬剤が抗生物質であつた。
  • 越智 敬三, 麻上 千鳥, 原 紀正, 山田 健一, 白石 達雄, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 49-54
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年より同57年までの20年間に山口大学医学部皮膚科を受診したウイルス性皮膚疾患患者について統計的観察を行つた。みられた疾患, 患者数およびウイルス性皮膚疾患患者数に対する頻度は, それぞれ伝染性疣贅1,067人(41.4%), 帯状疱疹762人(29.6%), 単純疱疹290人(11.3%), 伝染性軟属腫225人(8.7%), 水痘134人(5.2%), 風疹36人(1.4%), 手足口病19人(0.7%), 種痘疹16人(0.6%), カポシ水痘様発疹症12人(0.5%), 伝染性紅斑9人(0.3%), ジアノッティ症候群6人(0.2%), 麻疹2人(0.1%), 突発性発疹2人(0.1%)および伝染性単核症2人(0.1%)であつた。ウイルス性皮膚疾患患者総数は2,577人で, 全外来患者に対する頻度は4.38%であつた。各疾患について臨床的事項を統計的に検討するとともに, 数種の疾患に関して治療, 診断あるいは疫学的実態の把握に関して残されていると考えられた問題についても述べた。
  • 西山 和光, 麻上 千鳥, 西岡 和恵, 浜中 すみ子, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 55-62
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年から57年までの20年間における症例数は5,545例で, 外来患者総数58,856例の9.4%を占め, 白癬4,613例(対真菌症症例数比83.2%), カンジダ症607例(10.9%), 癜風300例(5.4%), スポロトリコーシス24例(対深在性真菌症症例数比61.5%), クロモミコーシスおよび黄癬各1例からなつていた。白癬は, 足白癬2,093例, 陰股部白癬891例, 爪白癬655例, 体部白癬622例, 手白癬329例, ケルスス禿瘡11例, 頭部白癬9例, 白癬性毛瘡2例および白癬性肉芽腫1例から, またカンジダ症は, 乳児寄生菌性紅斑201例, カンジダ性間擦疹178例, およびカンジダ性指間糜爛症103例からそれぞれなつていた。カンジダ症の各病型は, いずれも昭和47年以後増加傾向を示した。スポロトリコーシスは, リンパ管型13例および固定型11例で, 全例が山口県居住者であり, うち22例は山陽側に, また2例は山陰側に住んでいた。
  • 西山 和光, 麻上 千鳥, 倉田 三保子, 山本 俊比古, 内田 寛, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 63-66
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年から57年までの20年間における患者総数は76例で, 外来患者総数58,856例の0.12%を占めていた。真性皮膚結核は11例(14.5%)で, 尋常狼瘡4例, 皮膚疣状結核3例, 皮膚腺病3例および皮膚初感染結核1例であつた。結核疹は65例(85.5%)で, バザン硬結性紅斑30例, 顔面播種状粟粒性狼瘡29例, 結核性結節性静脈炎3例, 壊疽性丘疹状結核疹1例および酒さ様結核疹2例であつた。20年間において疾患別頻度に大きな変動はみられなかつた。
  • 西山 和光, 麻上 千鳥, 浪花 志郎, 山田 健一, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 67-69
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年から57年までの20年間における梅毒患者総数は304例で, 外来患者総数の0.52%を占めていた。それらのうち顕症梅毒は16例(5.3%), 顕症梅毒以外の血清反応陽性者は288例(94.7%)であつた。顕症梅毒は40年度に8例, 41年度に4例, 43年度に1例, 49年度に1例, 53年度に2例で54年以後には認められなかつた。
  • 西岡 和恵, 麻上 千鳥, 西山 和光, 倉田 三保子, 白石 達雄, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 70-73
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年4月から同57年12月までの約20年間の鞏皮症患者は限局性鞏皮症22例(男子6例, 女子16例), および汎発性鞏皮症45例(男子3例, 女子42例)の計67例で, 外来患者総数58,856例に対する割合は0.1%であつた。年度別患者数では, 限局性鞏皮症には一定の増減傾向が認められなかつたが, 汎発性鞏皮症では, 前期10年間の各年度で0∼2例, 計9例であつたのに対し, 後期の10年間では各年度で2∼6例, 計36例と増加していた。年令層別には, 限局性鞏皮症は0∼10才代に, また汎発性鞏皮症は20∼50才代に多く, 初診までの期間では, 限局性鞏皮症は6ヵ月以内に, また汎発性鞏皮症は6ヵ月から3年以内にそれぞれ多い傾向を示した。限局性鞏皮症は斑状型15例, 帯状型1例, 帯状型の特殊型である剣創状型5例, および抗核抗体, 抗DNA抗体およびRA陽性のgeneralized morphea 1例からなり, また単発例14例および多発例8例に分けられた。汎発性鞏皮症は, Barnett分類のtype 1が3例, type 2が38例, type 3が4例であり, 初発症状はレイノー現象が24例(53.3%)で最多であり, 他の自己免疫疾患の合併が6例(13.3%)にみられた。
  • 原 曜子, 麻上 千鳥, 原 紀正, 永井 純子, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 74-78
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年4月から同57年12月までの20年間における水疱症の教室例について臨床的, 統計的観察を行い, 以下の結果を得た。
    1) 水疱症総数は66例で, 外来患者総数の0.11%を占めていた。
    2) 内訳は, 天疱瘡群25例, 疱疹状皮膚炎19例および水疱性類天疱瘡22例からなつていた。
    3) 水疱症, とくに天疱瘡群および水疱性類天疱瘡は昭和52年度以降にやや増加する傾向を示した。
  • 今村 隆志, 麻上 千鳥, 原 曜子, 永井 純子, 内田 寛, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 79-84
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年より同57年までの20年間に山口大学皮膚科を受診した乾癬および類乾癬症例について統計的観察を行い, 次の結果を得た。
    1) 乾癬患者総数は430例で, 外来患者総数の0.73%を占めていた。また, その頻度は年々増加の傾向がみられた。
    2) 乾癬患者の男女比は2.0:1で, 文献的報告と同じく男子に多い傾向が認められた。
    3) 乾癬の年令別患者数は男女とも40才代に最も多かつた。初発年令は尋常乾癬では20∼40才代に多い傾向が認められた。60才以上の老人発症例は全男子例の21.1%, 全女子例の13.0%を占めており, 文献的報告に比較して多い傾向が認められた。
    4) 乾癬の家系内同症発生頻度は1.8%であつた。
    5) そう痒が乾癬患者全体の30.7%に認められた。
    6) 合併症は乾癬患者全体の14.2%に認められ, 高血圧症, 肝疾患, 糖尿病および血管障害が多かつた。
    7) 類乾癬患者総数は50例で, 外来患者総数の0.08%を占めていた。病型別では, 滴状類乾癬は47例(男子20例, 女子27例), 斑状類乾癬は3例(男子1例, 女子2例)で, 苔癬状類乾癬は認められなかつた。
  • 永井 純子, 麻上 千鳥, 西山 和光, 今村 隆志, 内田 寛, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 85-89
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    最近20年間の黄色腫症ならびに若年性黄色肉芽腫の教室例について臨床的, 統計的観察を行い, 以下の結果を得た。
    1) 本疾患群の患者総数は82例で, 外来患者総数58,856例の0.14%を占めていた。
    2) 患者数の頻度を5年ごとに4期に分けて比較すると, 最近5年間ではそれ以前の3期間に比べて有意の増加を示していた。
    3) 臨床型別には眼瞼黄色腫が47例と最も多く, かつ30∼59才の例が大部分を占めていた。次いで若年性黄色肉芽腫は19例で, 成人型の2例を除くとすべて5才以下であつた。その他, 結節性黄色腫7例, 扁平黄色腫5例, 発疹性黄色腫3例, 腱黄色腫1例がみられた。
  • 麻上 千鳥, 安野 秀敏, 倉田 三保子, 岡崎 泰典, 浜中 すみ子, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 90-94
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年から57年までの20年間に山口大学皮膚科を受診した皮膚アミロイドーシス(皮膚ア症)患者について臨床的, 統計的に観察し, 以下の結果を得た。
    1) 20年間の皮膚ア症患者総数は30例で, 同期間の外来患者総数の0.07%を占めていた。その年度別頻度は年とともに増加する傾向を示した。
    2) 性別では男子15例, 女子15例と差がみられなかつた。
    3) 年令層別では30∼40才代に最多で約43%を占めた。
    4) 皮膚ア症を血清リポ蛋白のPAG電気泳動法によりリポ蛋白異常の面から検討したところ, lichen amyloidosusでは6例中6例, macular amyloidosisでは5例中1例, maculo-papular amyloidosisでは2例中2例およびamyloidosis cutis nodularis atrophicansでは1例中1例にいずれもリポ蛋白異常が認められた。
  • 浜中 すみ子, 麻上 千鳥, 山口 康則, 今村 隆志, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 95-100
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    過去20年間に当科を受診した母斑症の患者を臨床的ならびに統計的に観察し, 以下の結果を得た。
    1) 母斑症の総患者数は144人であり, 総外来患者数の0.24%を占めていた。
    2) 本症患者数の外来患者総数に対する年次的推移に変化はみられなかつた。
    3) 本症患者のうち92人がRecklinghausen病, 18人がPringle病, 20人がKlippel-Weber病, 14人がその他の母斑症であつた。
    4) いずれの母斑症でも性差は認められなかつた。
  • 浪花 志郎, 麻上 千鳥, 越智 敬三, 原 曜子, 今村 隆志, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 101-106
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38∼57年の20年間に山口大学皮膚科で経験した皮膚悪性腫瘍症候群80例について臨床的, 統計的検討を行つた。1) 内訳は腫瘍随伴性皮膚症候群に属する皮膚筋炎10例, 黒色表皮腫6例, ジューリング疱疹状皮膚炎22例, 水疱性類天疱瘡24例, 計52例のほかに, 悪性腫瘍を合併した慢性湿疹, ベーチェット病, 乾癬(紅皮症型), 紅皮症, SLE, 毛孔性紅色粃糠疹の各1例, 皮膚転移癌に属する症例12例であつた。2) 合併悪性腫瘍としては, 皮膚筋炎の6例では, 直腸癌および肺癌合併各2例, 胃癌および肝癌合併各1例, 悪性黒色表皮腫の3例では, 胃癌合併3例, ジューリング疱疹状皮膚炎の3例では, 子宮頸癌の骨転移, 胃癌および直腸癌合併各1例, 水疱性類天疱瘡の1例では膵癌合併1例, また慢性湿疹, ベーチェット病, 紅皮症, 乾癬(紅皮症型), SLEおよび毛孔性紅色粃糠疹の各1例, 計6例では, 胃癌合併4例, 子宮頸癌および肝癌合併各1例がみられた。3) 皮膚転移癌の12例での原発巣としては, 乳癌8例, 悪性甲状腺腫, 子宮頸癌および肺癌の合併各1例および原発巣不明の1例がみられた。
  • 山口 康則, 麻上 千鳥, 浪花 志郎, 越智 敬三, 久本 和夫, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 107-109
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年から57年までの20年間の皮膚悪性腫瘍症例は男229例, 女205例, 計434例で, 外来患者総数の0.74%を占めていた。疾患別内訳は, 有棘細胞癌120例, 基底細胞上皮腫128例, 附属器癌12例, Bowen病63例, Paget病21例, 皮膚転移癌19例, 悪性黒色腫29例, 悪性リンパ腫24例, 隆起性皮膚線維肉腫6例およびその他12例であつた。
  • 山口 康則, 麻上 千鳥, 西山 和光, 原 紀正, 山本 俊比古, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 110-114
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年∼同57年の20年間における有棘細胞癌症例数は120例で, 外来患者総数に対する頻度は0.20%であつた。性別では男76例, 女44例で, 男女比は1.73:1であつた。年令層別では, 40才代から急増し70才代にピークを形成し, 40才代以上で全症例の95%を占めていた。発生部位別頻度では, 顔面に最多で, 42例(35.0%), ついで下肢41例, 被髪頭部12例, 上肢10例, 外陰部9例, 胸腹部4例, 背部2例の順であつた。前駆病変が明らかにされた症例は60例で, 熱傷瘢痕32例, 放射線皮膚炎8例, その他の瘢痕7例, 老人性角化腫, 色素性乾皮症の各4例, 白板症2例およびその他3例であつた。TNM分類と転帰との関連では, 腫瘤が大きく, かつ浸潤が深くなるほど予後が悪くなる傾向がみられ, またBroders分類と転帰との関連でも, 腫瘍が未分化になるほど予後が悪くなる傾向がみられた。
  • —最近20年間における教室例の臨床的, 統計的検討—
    山田 健一
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 115-118
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    1963年4月から1982年12月までの約20年間の山口大学医学部皮膚科教室における基底細胞上皮腫について統計的観察を行つた。
    1) 基底細胞上皮腫の症例数は128例で, 外来患者総数の0.21%であつた。
    2) 性比は男:女=1.1:1であつた。
    3) 年令別では40才以上が121例(94.5%)であつた。
    4) 発生部位では, 顔面, とくに下眼瞼, 頬部, 鼻部, 上口唇に好発していた。
    5) 皮疹は, 潰瘍·結節型(82.6%), 表在型(14.6%), 破壊型(1.8%), 斑状鞏皮症様型(0.9%)であつた。
    6) 組織型は, 充実型(56.0%), 表在型(14.6%), 腺様型(13.8%), 嚢腫型(7.3%), 角化型(7.3%), 汗管様型(0.9%)であつた。
    7) 症例の97.7%が外科的切除のみで治療され, 再発は3例にみられた。
  • 越智 敬三, 麻上 千鳥, 西山 和光, 山田 健一, 久本 和夫, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 119-123
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年より同57年までの20年間に, 山口大学医学部皮膚科を受診したボーエン病およびボーエン癌の患者数は63人であり, 外来患者数に対する頻度は0.11%であつた。63人中ボーエン癌は7人で, また多発例も7人であつた。悪性腫瘍の既往ないし合併例は13人にみられた。
  • —最近20年間における汗器官腫瘍およびPaget病教室例の臨床的, 統計的検討—
    久本 和夫
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 124-128
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    最近20年間における汗器官腫瘍およびPaget病の教室例を臨床的, 統計的に検討し, 以下の結果を得た。
    1-1) 汗器官腫瘍症例の総計は36例で, 外来患者総数および生検標本総数に対して, それぞれ0.059%および0.26%を占めた。1-2) 男女比は, 1:2.3で女子にやや多かつた。1-3) 部位では, 顔面, 頭部に好発傾向を示した。
    2-1) Paget病症例の総計は22例で, 外来患者総数の0.036%を占めた。2-2) 男女比は, 1:2.7で汗器官腫瘍と同様に女子にやや多かつた。2-3) 内訳では, 乳房Paget病10例, 乳房外Paget病12例で両者の比は1:1.2であつた。2-4) 乳房Paget病では, 全例が女子であつたのに対し, 乳房外Paget病では, 男女比は1:1であつた。2-5) 年令層別では, 乳房Paget病では平均年令は58才であつたのに対し, 乳房外Paget病では72才で, 乳房Paget病よりも高令者に発生する傾向がみられた。
  • 内田 寛
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 129-136
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年4月から同58年6月までに山口大学医学部附属病院皮膚科を受診した悪性黒色腫患者33例について臨床的, 統計的検討を行うとともに観察期間が3年以上の症例を対象としてそれらの臨床的および病理組織学的諸因子と生存率との関係についての検討も併せて行つた。本症患者数の外来患者総数に対する頻度は0.054%で, 20年を前期と後期に分けての比較では, 後期では前期に比べて増加する傾向が認められた。男女比では, 1:2.7と女子に多い傾向が認められた。予後因子の検討では, 多形性を除く病期, 病型, レベル(Clark), 腫瘍侵襲の厚さ(Breslow), 生検後から手術までの期間, 腫瘍辺縁からの切除範囲, 所属リンパ節廓清の有無, 細胞型, リンパ球浸潤の程度および核分裂率はいずれも生存率に関して有意の相関を示すのが認められた。
  • —最近20年間における悪性リンパ腫教室例の臨床的, 統計的検討—
    山本 俊比古
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 137-147
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年から同57年までの20年間に山口大学医学部附属病院皮膚科を受診した悪性リンパ腫患者について, 臨床的, 統計的検討を行うとともに, 予後因子について検討し, 以下の結果を得た。1) 同期間における悪性リンパ腫は25例で, 非ホジキンリンパ腫19例ならびにホジキン病, 菌状息肉症, 成人T細胞白血病·リンパ腫各2例からなつていた。2) 性別では, 男子16例, 女子9例で, 男子にやや多かつた。3) 非ホジキンリンパ腫の19例中17例にLSG分類を適用したところ, medium cell typeとmixed typeが各5例, large cell typeが3例, pleomorphic typeが2例, small cell typeとlymphoblastic typeが各1例であつた。4) 非ホジキンリンパ腫19例にAnn Arbor分類を適用したところ, I期4例, II期3例, III期7例, IV期5例に分類された。5) 治療では, 化学療法が全例に, 放射線療法が6例に, 免疫療法が13例に, また外科的療法が1例に実施されていた。6) 予後との相関性は, 年令, 全身症状の有無および非特異的抗腫瘍抵抗力との間には認められたが, 組織型および病期との間には認められなかつた。
  • 今村 英一, 麻上 千鳥, 山口 康則, 金子 信幸, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 148-151
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年4月から同57年12月までの約20年間における山口大学医学部付属病院皮膚科の入院手術症例について統計的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1) 総手術件数は2,068件であつた。
    2) 麻酔方法別では, 全身麻酔967件, 腰椎麻酔および硬膜外麻酔65件, 局所麻酔1,036件であつた。
    3) 手術件数別では, 瘢痕が521件と最多で, 次いで悪性腫瘍351件, 良性腫瘍263件, 母斑236件, および放射線障害230件の順となつていた。
    4) 手術方法別では, 分層植皮術が935件と最も多用されており, 次いで単純縫縮術549件, 間接遠隔皮弁術149件, 局所皮弁術141件, 全層植皮術138件の順となつていた。
    5) 疾患別に手術方法の種類についてみると, 瘢痕では分層植皮術および単純縫縮術の, 悪性腫瘍では分層植皮術および単純縫縮術の, 母斑では単純縫縮術および分層植皮術の, また放射線障害では分層植皮術および間接遠隔皮弁術の頻度が高かつた。
    6) 1症例あたりの平均手術件数では, 放射線障害が5.11件と最多で, 次いで血行障害1.78件, Paget病1.76件, 母斑症1.65件の順となつていた。
  • 金子 信幸, 麻上 千鳥, 山口 康則, 安野 秀敏, 今村 朋子, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 152-156
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年4月から同57年12月までの約20年間に山口大学医学部皮膚科を受診した患者について, 年度別の患者数および疾患数, さらにそれらの性別頻度などを統計的に検討し, 以下の結果を得た。
    1) 各疾患の総症例数に対する頻度では, 湿疹·皮膚炎が最も高値を示し, 次いで真菌症, 良性腫瘍, ウイルス性疾患, および中毒疹·薬疹の順となつていた。
    2) 性別頻度では, 紅皮症, 水疱症, 炎症性角化症, および悪性腫瘍を除いては女子の方が男子よりも高値を示した。
    3) 年度別推移では, 前半10年と後半10年との比較において, 動物性皮膚疾患, 血行障害性疾患, 紅皮症, 水疱症, 膠原病, 代謝異常症, 肉芽腫症, 前癌·表皮内癌などの増加傾向および梅毒, 発汗異常などの減少傾向がみられた。
  • 今村 朋子, 麻上 千鳥, 山口 康則, 森 洋子, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 157-160
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年4月から同57年12月までの約20年間に山口大学医学部皮膚科を受診した15才以下の小児外来患者について統計的観察を行い, 以下の結果を得た。
    1) 小児患者症例総数は12,955例で外来患者症例総数60,961例の21.3%を占めていた。
    2) 小児患者総数に対する頻度では, 湿疹·皮膚炎群が最高で, ついで良性腫瘍, 膿皮症, ウイルス性疾患であつた。
    3) 疾患別症例総数に対する頻度では, アトピー皮膚炎が最高で, ついで水痘, 急性膿皮症, 非上皮性良性腫瘍, 母斑, 母斑症の順であつた。
    4) 60才以上の患者症例数に対する比では, アトピー皮膚炎が最高で, ついで水痘, 母斑, 疥癬, 母斑症の順であつた。一方, その比が低値を示した疾患では, PSS, 皮膚アミロイドーシス, 前癌·表皮内癌および悪性腫瘍でその比は0であり, ついで皮膚そう痒症, 放射線障害, 慢性膿皮症, 結核疹, 紅皮症, 膿疱症, DLE, および皮膚筋炎などが低かつた。
    5) 性別症例数では, 男子6,319例, 女子6,636例で男女比は0.95:1と性差はみられなかつた。男女差の大きい疾患のうち, 男子に多い傾向のみられた疾患は, ベーチェット病および結節性紅斑で, また女子に多い傾向のみられた疾患は, 紅皮症およびSLEであつた。
  • 森 洋子, 麻上 千鳥, 西岡 和恵, 今村 英一, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 161-163
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年4月より同57年12月までの約20年間に, 山口大学医学部付属病院皮膚科を受診した60才以上の患者について統計的観察を行い, 以下の結果を得た。
    1) 60才以上の患者数は7,653例で, 外来患者総数の13%を占めていた。
    2) 疾患別症例数に対する60才以上の患者症例の占める割合が高値を示した疾患はボーエン病をはじめとして, 老人性角化腫, ページェット病, 皮膚癌, 悪性黒色腫, 紅皮症, 水疱症などであつた。
    3) 60才以上の患者において高頻度を示した疾患は白癬が最も多く, 次いで接触皮膚炎, 皮膚そう痒症, 中毒疹·薬疹などであつた。
    4) 15才以下の患者症例と比較すると, 60才以上の患者症例に頻度の高い疾患は, 皮膚癌, 紅皮症, 掌蹠膿疱症, DLE, 皮膚そう痒症, 皮膚筋炎などで, また, 頻度の低い疾患は, アトピー皮膚炎, 水痘, 母斑, 疥癬, 母斑症, 癜風などであつた。
    5) 男女差の大きい疾患のうち, 男子に多い傾向のみられた疾患は尋常疣贅, 毛包脂腺系疾患, 尋常乾癬, 膿皮症などで, また, 女子に多い傾向のみられた疾患は結節性紅斑, 爪の疾患, 悪性黒色腫, 多形滲出性紅斑などであつた。
研究
  • 2. 治療による推移
    麻上 千鳥, 今村 隆志, 永井 純子, 藤田 英輔, 山本 邦光
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 164-168
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    典型的乾癬皮疹の全身多発型5例および頭部限局型2例, 計7例の尋常乾癬患者について, その治療前にみられたIV型およびIIb型高脂血症がCPIB投与によつてL type midband(LM)あるいはbroad midband(BMB)に変動するか否かを検討し以下の結果を得た。
    1) 治療前にIV型を示した4例中の1例は治療によつても変動しなかつたが, 2例はBMBへ, 他の1例はLMへ変動した。また治療前にIIb型を示した3例中の1例はBMBへ, 他の2例はLMへと変動した。
    2) 全身多発型のIIb型からBMBへと変動した時点でのLDLの分画内リポ蛋白粒子の大きさは, 正常人のそれよりも大きく, また治療前の大きさとの間に有意差を示さなかつた。
    3) 頭部限局型のIIb型からLMへと変動した時点でのLDL分画内リポ蛋白粒子の大きさは, 正常人のそれよりも大きく, また治療前の大きさとの間に有意差を示さなかつた。
    4) 2)および3)項の結果から尋常乾癬患者では, IDLからLDLへの代謝抑制が存在する可能性が示唆された。
  • 3. アポBおよびCの検討
    麻上 千鳥, 今村 隆志, 永井 純子, 藤田 英輔, 山本 邦光
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 169-172
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    典型的な尋常乾癬皮疹の全身多発型および頭部限局型の各1例の患者について, その治療前およびCPIB投与中の血清LDL(d=1.026∼1.087)をアポタンパク(以下アポ)BおよびCの面から検討し, 以下の結果を得た。
    1) 免疫電気泳動法による検索で全身多発型および頭部限局型のいずれにおいても, その治療前および治療経過中のLDLは, 抗LDL抗体および抗VLDL抗体に対して明らかな沈降線を形成したが, 抗HDL抗体には沈降線を形成しなかつた。
    2) 前項からLDLは, アポBおよびCを含有していると考えられ, 正常人のIDLと似た組成を有するものであることが示唆された。
  • —母斑細胞母斑および悪性黒色腫について—
    浜中 すみ子, 麻上 千鳥, 山口 康則, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 173-176
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    2人の正常人皮膚, 3人の母斑細胞母斑患者の母斑皮膚および1人の悪性黒色腫患者の腫瘍組織の各糖脂質をTLC scannerで分析し, 以下の結果を得た。
    1) いずれの試料にも中性糖脂質としてCMH, CDH, CTHおよびgloboside Iが含まれていた。
    2) 正常人皮膚および母斑細胞母斑ではGM3, GD3ならびに未同定のGanglioside XおよびYが認められた。悪性黒色腫ではGM3, GD3およびGanglioside Xは認められたがGanglioside Yは検出されなかつた。
    3) 母斑細胞母斑および悪性黒色腫のCMHのRf値は正常皮膚の糖脂質に比べて高値を示し, 逆にCTH量は著明に減少していた。
  • 安野 秀敏, 麻上 千鳥, 浪花 志郎, 西岡 和恵, 内田 寛, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 177-179
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    薬疹のin vitro診断法としてのSCMテストの臨床的意義を明らかにするため, 薬疹の教室例にこれを施行し, 以下の結果を得た。
    1) PHAを用いてSCMテストを施行した健常人14例では, 全例にpercent decrease(以下PD)が-3.8%より-11.6%までの蛍光偏光度の低下を示した。この結果は, SCMテストがリンパ球の免疫学的感作状態を検索するためのin vitro診断法の1つとして有用であることを示唆するものと思われた。
    2) 原因薬剤を用いてSCMテストを施行した薬疹確診例6例中2例において, PDが-4.4%(AB-PC)および-5.4%(AMK)と-4%以下の蛍光偏光度の低下を示すのが認められたが, 他の4例および対照者では, すべてPDが-1.3%以上であつた。今後も, 薬疹例の症例を追加してさらに詳しく検討する必要があると思われた。
  • —Carcinoembryonic Antigenの検討—
    久本 和夫
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 180-183
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    汗器官腫瘍20例とともにPaget病を含む関連ないし対照疾患12例, 計32例および正常皮膚組織2例を対照としてcarcinoembryonic antigen(CEA)の分布をperoxidase antiperoxidase(PAP)法によつて検索した。エクリン汗器官腫瘍では, 主に管腔壁に, またアポクリン汗器官腫瘍では, 管腔とは無関係と思われる細胞にCEAが陽性であつた。Paget病では, Paget細胞の分布に一致してCEA陽性であつた。以上よりCEAの検索は, 汗器官腫瘍のエクリン系あるいはアポクリン系の決定をはじめPaget細胞の同定を行うに際しての一手段として有用であると思われた。
  • II. 脂漏性角化症の組織型との関連について
    原 紀正, 麻上 千鳥, 原 曜子, 白石 達雄, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 184-187
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    脂漏性角化症のactin分布を抗actin抗体を用いた蛍光抗体間接法により観察し以下の結果を得た。1) 脂漏性角化症のbasaloid cellでは, 組織型にかかわらず19例全例に陽性蛍光が認められた。2) Squamous cellで陽性蛍光の認められたのは19例中6例であり, いずれも網状型に属していた。3) Squamous cellの陽性蛍光は角層に近づくにつれて減弱する傾向が認められた。4) Squamous cellでのactin分布の差は角化傾向やbasaloid cellの増殖に関連するものではないと考えられた。
  • 白石 達雄
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 188-193
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    HLAのL鎖であるβ2-microglobulinの上皮性皮膚腫瘍における分布を蛍光抗体法および酵素抗体法を用いて検討し, 以下の結果を得た。
    1) 正常皮膚: 角層以外の被覆表皮, 毛包, 汗腺および皮脂腺の各ケラチノサイトの細胞膜部に陽性所見を示した。
    2) 良性腫瘍: 脂漏性角化症およびケラトアカントーマの腫瘍細胞には細胞膜部に陽性所見を示した。
    3) 表皮内癌: ボーエン病の腫瘍細胞には, 陽性と陰性所見部とが混在していた。
    4) 悪性腫瘍: 基底細胞上皮腫および有棘細胞癌の腫瘍細胞には大部分が陰性所見であつた。
  • 原 紀正, 麻上 千鳥, 原 曜子, 山本 俊比古, 白石 達雄, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 194-199
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    教室の非ホジキンリンパ腫(NHL)9例, 成人T細胞白血病·リンパ腫(ATLL)2例および菌状息肉症(MF)1例, 計12例の悪性リンパ腫について, 蛍光抗体法による免疫組織学的検索, ロゼット形成法による腫瘍細胞のT, B細胞分類による検索および病理組織学的検索を行い, 以下の結果を得た。NHL 9例中, 6例がT細胞性であり, うち4例は胸腺性, 2例は末梢性と考えられ, 他の3例はunclassifiableであつた。ATLL 2例およびMF 1例は, いずれも末梢T細胞性と考えられた。ロゼット形成法による検索では, NHL 5例中3例に明らかな差がみられ, 免疫組織学的検索の結果と一致していた。病理組織学的検索では, epidermotropismはT細胞性NHLの3例, MFの1例およびunclassifiableの2例に, clear zoneはlarge cell typeでT細胞性であつた1例に認められた。Convoluted nucleiはT細胞性NHLおよびMFの各1例, ATLLおよびunclassifiableの各2例に, またcleaved nucleiはunclassifiableの3例にのみ認められた。
  • —LSG分類の組織計測学的検討—
    山本 俊比古
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 200-204
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    非ホジキンリンパ腫の教室例13例について, LSG分類を皮膚病変に適用することの有用性, および皮膚病変とリンパ節病変とにおける組織学的相違の有無を検討するため, image analyzer computer systemを用い, areaおよびaspect ratioをパラメーターとして組織計測学的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1) Areaでは, 小細胞型, 中細胞型, 混合型および大細胞型の順に大きくなる傾向が認められ, またそのヒストグラムでは混合型のみが他の亜型とは相違する傾向が認められた。
    2) Aspect ratioでは, 各亜型間に一定の相違はみられなかつたが, 皮膚病変とリンパ節病変とでは前者の方が後者よりも値が大であつた。
  • —組織計測学的検討—
    山田 健一
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 205-209
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    基底細胞上皮腫6型の各構成細胞の核について, image analyzer computer system(Luzex500)を使用して定量的に解析し, 以下の結果を得た。1) 汗管様型の腫瘍細胞は, 正常のアポクリン汗管細胞に核の面積, 形状および好塩基性のいずれに関しても類似しており, アポクリン汗管細胞をモデルとしている可能性が示唆された。2) 表在型の腫瘍細胞は, 正常毛包基底細胞に核の面積に関しては類似しており, モデルとしては, 表皮の基底細胞よりも毛包のそれに近い可能性が示唆された。3) 角化型の腫瘍細胞は, 正常毛包基底細胞に核の形状および好塩基性に関しては類似していたが, 面積では類似していなかつた。4) 腺様型の腫瘍細胞は正常エクリン汗腺およびアポクリン汗腺細胞に核の面積, 形状および好塩基性のいずれに関してもほとんど類似していなかつた。5) 嚢腫型の腫瘍細胞は正常脂腺基底細胞に, また充実型腫瘍細胞は正常表皮および毛包の各基底細胞に, 核の面積および形状に関してはほとんど類似していなかつた。5) T1とT4の比較では, T4の充実型腫瘍細胞はT1のそれよりも核が有意に淡染性となる傾向が, またT4の嚢腫型の腫瘍細胞はT1のそれよりも核が有意に細長く, かつ多染性となる傾向がそれぞれ認められた。これらのことは, 核の面積および好塩基性が腫瘍細胞の侵襲度の指標となる可能性を示唆するものと考えられた。
  • —正常表皮との比較を中心に—
    西山 和光, 麻上 千鳥, 越智 敬三, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 210-217
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    Bloch型老人性疣贅の2例について, 症例相互間の相違および正常の被覆表皮, 毛包漏斗および峡部との部位的類似性に注目して, 微細構造的に比較検討するとともに, トノフィブリルの発達度をデスモゾーム接着板の最大長およびデスモゾーム·トノフィブリル複合体面積をパラメーターとして形態計測学的に比較検討し, 以下の結果を得た。1) 症例1では種々の程度にグリコーゲン顆粒を有しており, またトノフィブリルの発達度も細胞によつて異なつていた。核は核仁糸が明瞭で分散クロマチンが多く正常表皮よりも高い細胞活性にあることが示唆された。2) 症例2では, トノフィラメントは豊富であるがトノフィブリルの束形成の傾向に乏しく, また中等量のグリコーゲン顆粒を有する細胞が多かつた。核は核仁糸が不明瞭で濃縮クロマチンが多く症例1よりも細胞活性の低いことが示唆された。3) 2例のいずれにも被覆表皮あるいは毛包漏斗ないし峡部に類似の所見が混在して認められた。
  • 久本 和夫, 麻上 千鳥, 今村 英一, 今村 朋子, 金子 信幸, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 218-223
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    臨床像, 組織像および蛍光抗体法の所見より水疱性類天疱瘡と診断した1例を電顕的に検討した結果, 水疱形成はlamina lucidaのみならずbasal laminaの下方にも生じており, また基底層, 水疱腔内および真皮上層にはcolloid bodyと考えられる構造物を観察した。
症例
  • 西岡 和恵, 麻上 千鳥, 安野 秀敏, 浜中 すみ子, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 224-226
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    34才男子。出生時より下肢から臀部に単純性血管腫が認められていたが, 10才頃より足背, 下腿および胸背部に色素斑が発生した。さらに17才頃より両下腿に静脈瘤が認められるようになつた。色素斑は皮膚面と同高ないしはやや陥凹した粟粒大, 不整多角形の褐色斑で, 足関節付近では皮溝に一致しており, 特有の網状配列を呈していた。組織学的には, 表皮突起の真皮内突出, 基底層, とくに突出部における色素増加および基底細胞の核周囲性の空胞化がみられ, 網状肢端色素沈着症と診断された。血液検査では異常は認められなかつたが, 下腸間膜血管造影で下行結腸に静脈拡張が認められた。これらのことから本例における網状肢端色素沈着症, 単純性血管腫および静脈瘤は一種の母斑症的発現として理解される可能性があると思われた。
  • 白石 達雄, 麻上 千鳥, 浪花 志郎, 越智 敬三, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 227-230
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    60才女子のlichen planus型皮疹を呈したMCTDの1例を報告した。約2年前よりlichen planus型皮疹, レイノー症状, 手指の腫脹および全身性の関節痛を認めた。検査所見では, 抗核抗体および抗RNP抗体の高値を認めたが, 抗Sm抗体は陰性であつた。病理組織学的には, 表皮の液状変性, コロイド小体, 表皮·真皮境界部の裂隙形成および真皮上層への小円形細胞の帯状浸潤を認めた。蛍光抗体直接法では, 無疹部で表皮細胞核にspeckled patternのIgGの沈着を, また皮疹部でコロイド小体に一致したIgG, IgA, IgM, C3およびC1qの沈着を認めた。
  • 今村 隆志, 麻上 千鳥, 原 紀正, 白石 達雄, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 231-234
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    皮膚硬化, レイノー現象, 食道·胃の蠕動低下など全身性鞏皮症の典型的臨床像に加え, LE細胞陽性, 抗核抗体高値, 抗DNA抗体陽性, 低補体価などの血清免疫学的異常, 白血球減少, 蛋白尿など全身性エリテマトーデスの所見も示し, 2つの膠原病の合併したoverlap症候群と考えられた1例を報告した。病変部皮膚組織の蛍光抗体直接法にて真皮·表皮境界部にはIgMおよびC1qの沈着が認められた。
  • 原 紀正, 麻上 千鳥, 原 曜子, 内田 寛, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 235-238
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    6才女児の典型的なSLE例を経験したが, 家系調査の結果, この女児の父方に13才の, また母方に8才の各女児SLE発症例が確認された。HLA検索でBW51が3症例に共通して検出された。症例の報告と併せてSLEにおけるHLA抗原について若干の文献的考察を行つた。
  • 原 曜子, 麻上 千鳥, 原 紀正, 白石 達雄, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 239-242
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    83才女子のherpetiform pemphigusと思われる症例を報告した。ほぼ全身に多形滲出性紅斑様あるいは疱疹状皮膚炎様の紅斑ならびに水疱をきたし, 組織学的にはeosinophilic spongiosisを伴つた表皮内水疱を示した。蛍光抗体直接法にて表皮細胞間および表皮—真皮接合部へのIgGおよびIgAの沈着がみられた。
  • 安野 秀敏, 麻上 千鳥, 浪花 志郎, 岡崎 泰典, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 243-246
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    天疱瘡の姉妹例(姉: 落葉状天疱瘡, 妹: 尋常天疱瘡)を報告し, 天疱瘡の家族内発生について若干の文献的考察を行つた。天疱瘡の皮疹は妹に初発し, その5年後に姉に皮疹の出現を認めた。妹の場合は, 臨床的, 組織学的所見により診断され, 姉の場合は, 上記の所見に免疫組織学的所見を加えて診断された。姉のHLAは, A2, BW39, BW61, DR8W6Yであり, 従来から天疱瘡に特異性の高いと報告されているA10, A13, DR4とは相違していた。天疱瘡の家族内発生例を詳細に検討することは, この疾患の遺伝的背景を明らかにするために重要と思われた。
  • 永井 純子, 麻上 千鳥, 倉田 三保子, 今村 朋子, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 247-249
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    68才女子。初診の2年半前, 左眼窩縁の皮下腫瘤に気づいたが放置するうち徐々に増大し右眼窩縁にも同様の腫瘤を触れるようになつた。組織学的に多数の泡沫細胞がみられたこと, および臨床像より結節性黄色腫と診断した。血清総コレステロール値およびトリグリセライド値はいずれも軽度に上昇し, 血清リポ蛋白のPAGディスク電気泳動像はIII型を示した。本症例は他に眼瞼黄色腫を伴つていたが, 結節性黄色腫の好発部位である肘頭, 膝蓋, 臀部などには皮疹がまつたく認められなかつた。
  • 西山 和光, 麻上 千鳥, 原 曜子, 今村 隆志, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 250-253
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    山口県地方にみられたTrichophyton violaceumによる17才女子例およびTrichophyton glabrumによる57才女子例を報告した。
  • 西山 和光, 麻上 千鳥, 越智 敬三, 山田 健一, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 254-257
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    山口県下関市在住の67才男子で, 元外国航路の船員。初診の1年前より, 右大腿内側および左下腿後面に数個の暗紅色結節が生じ, また3ヵ月前より右下腿に有痛性腫脹が生じてきた。結節の病理組織学的所見では, 真皮内に瀰漫性に血管内皮細胞様細胞および線維芽細胞様細胞の増生が赤血球の溢出やヘモジデリン沈着を伴つて認められた。皮疹の出現とほぼ同じ頃から原因不明の貧血が発現し, 他医にて副腎皮質ホルモンの全身投与による治療を受けていた。当科初診時には血小板減少が高度で汎血球減少を伴い骨髄は過形成像を示していた。副腎皮質ホルモン投与が皮疹の腫脹および血小板減少に対しては有効で, また放射線照射が結節の縮小に効果を示したが, 消化管出血をきたして死亡した。剖検にて肉腫の内臓転移は認められなかつた。汎血球減少とKaposi肉腫との間に何らかの病因的関連の可能性が示された症例と思われる。
  • 森 洋子, 麻上 千鳥, 西岡 和恵, 金子 信幸, 藤田 英輔
    1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 258-263
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    急性リンパ性白血病の14ヵ月, 女児例を報告した。1ヵ月前から, 下顎右側に生じた紫斑様皮疹が増大し, 直径約4cmの暗赤色, 板状硬の類円形局面を形成した。末梢血では白血球数125,500/mm3で, その78.5%がリンパ芽球を主とする異型リンパ球であつた。白血病細胞はペルオキシダーゼ反応陰性であつた。皮疹の生検では, 真皮浅層から皮下脂肪織にかけて, 異型リンパ球の稠密な浸潤を認めた。ビンクリスチン, プレドニソロン併用により一時的に完全緩解が得られたが, 約1年後に死亡した。
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