西日本皮膚科
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治療
アトピー皮膚炎に対する酪酸クロベタゾン軟膏の長期使用による全身作用の検討
Clobetasone Butyrate外用剤臨床研究班
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1985 年 47 巻 1 号 p. 123-129

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抄録

近年強力なステロイド外用剤の弊害が各方面から指摘されるようになり, 小児や顔面などにも安全に, しかも長期に使用できるマイルドなステロイド外用剤の開発が望まれている。酪酸クロベタゾン軟膏(キンダベート軟膏)はその目的のために開発された薬剤である。今回本剤を難治性のアトピー皮膚炎患者50例に長期間単純塗布法により使用して, 全身への影響, さらに臨床効果ならびに局所への影響を検討し本剤の有用性を検討した。その結果, 全般改善度でかなり軽快以上を示したのは64%, やや軽快以上は90%であつた。また, 局所的副作用は認められなかつた。血清コルチゾール値および好酸球数については, 試験開始前と投与開始4週後でほとんど変動はみられなかつた。大量投与を行つた4例, 8週間以上の長期投与を行つた6例においても血清コルチゾール値の変動は認められなかつた。血清IgE値については, 4週後の測定において軽度の低下を認めた(P<0.05)。一般臨床検査において, 本剤による異常値の発現は認められなかつた。本剤の有用率は78%と高率を示した。とくに15才以下の症例では80%の有用率を示した。以上の結果から, 本剤は, 小児アトピー皮膚炎などに安全に長期間使用できる, きわめて有用なステロイド外用剤と考えられる。

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© 1985 日本皮膚科学会西部支部
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