西日本皮膚科
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研究
後天性亜鉛欠乏症における多核白血球のSuperoxide産生能
花田 勝美田崎 理子熊坂 義裕
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1985 年 47 巻 2 号 p. 278-282

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抄録
亜鉛欠乏症と易感染性の因果関係を検討する目的で, 50才, 70才男子, 60才女子の低亜鉛血症患者3例における多核白血球のsuperoxide anion (O2-)産生能を検討して, 次の結果を得た。1)亜鉛療法開始前の3症例の血漿亜鉛濃度の平均が35.1±27.0μg/dlであつたのに対して, 亜鉛療法後では89.2±10.0μg/dlと上昇した。2)Jonston法に準じて測定した患者白血球のO2-産生能は, 亜鉛療法前の10分値, 30分値がそれぞれ21.7±10.4nmol/4×105 cells, 40.1±17.6nmol/4×105 cellsであつたのに対して, 治療後のそれは32.7±1.1nmol/4×105 cells, 62.3±1.0nmol/4×105 cellsと正常に復していた。以上より, 低亜鉛状態における易感染性には, 多核白血球のO2-産生能の低下が一因となり得ることが示唆された。
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© 1985 日本皮膚科学会西部支部
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