西日本皮膚科
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研究
実験的白癬における細胞性免疫能の検討
大西 信悟
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1985 年 47 巻 3 号 p. 485-495

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抄録
Trichophyton mentagrophytesを感染させた実験白癬モルモットを作製し, 白癬菌菌体内多糖類を使用した精製トリコフィチンを抗原とする皮内反応およびmacrophage migration inhibition test(MIT), 粗製トリコフィチンを抗原とする貼付試験を, 感染後経時的に施行し, 以下の結果を得た。
1) トリコフィチン皮内反応は, 菌接種1週後から陽性化し, 2週後には強陽性となり4週後も強陽性が持続した。24週後には半数が陰性化するが, 1年を経ても陽性を示す例があつた。
2) MITは, 菌接種1週後では全例陰性であつたが, 2週後には半数が陽性を示した。4週後には6匹中5匹と陽性率は高くなつたが, 24週後には陽性を示したのは6匹中1匹のみとなつた。
3) 貼付試験の組織学的検討では, 菌接種2週後から上行性単核球遊出を伴う海綿状態が認められ, さらに3週後には角層下の好中球性膿疱形成および真皮内では瀰漫性に濃密な単核球, 好中球浸潤が認められた。これらの所見は, トリコフィチン皮内反応が陰性化すると認められなくなつたが, 皮内反応陽性例では, 菌接種1年後でも組織学的に陽性反応が認められた。
以上の所見は, トリコフィチン皮内反応とMITおよび貼付試験の相互陽性所見と関連を明らかにしえたと考えた。
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© 1985 日本皮膚科学会西部支部
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