西日本皮膚科
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治療
漢方製剤による皮膚そう痒症の治療経験
山本 泉加藤 卓朗角田 克博御藤 良裕比留間 政太郎
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1985 年 47 巻 5 号 p. 920-926

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抄録

皮膚そう痒症の14例に, ツムラ漢方製剤のうち当帰飲子, 真武湯, 黄連解毒湯の3処方を投与した。処方の選択は診察と問診カードのデータを参考とし, 患者の体力と簡単な主要目標より定めた。患者の年令は25∼68才, 平均59.1才, 薬剤投与日数は14∼113日, 平均58.4日であつた。処方別効果では, 当帰飲子は5例中著効1例, 有効3例(有効率80%), やや有効1例, 真武湯は3例中著効2例(有効率66%), やや有効1例, 黄連解毒湯は6例中著効3例(有効率50%), やや有効2例, 無効1例であつた。この無効の1例も桃核承気湯に変方してやや有効, 大柴胡湯に変方して著効をおさめた。最終的な有効率は71.4%となつた。副作用は, 薬が飲みにくく, 内服時に嘔気が生じるという1例のみであつた。大柴胡湯内服時, 一過性の下痢を生じた1例は瞑眩と考えられた。

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© 1985 日本皮膚科学会西部支部
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