化粧品皮膚炎, 女子顔面黒皮症, 化粧品皮膚炎既往歴所有者, その他の湿疹·皮膚炎ならびに対照患者, 計430例に, ラノリンおよびその誘導体の計24試料をパッチテストし, 次の成績を得た。
1) 精製ラノリン脂肪酸(30%)の陽性率が諸試料中最も高かつたが, これは低級脂肪酸による皮膚刺激に起因するものと考えられた。
2) 接触アレルギー反応の陽性率はラノリンアルコール(30%)が最も高く, (+)以上6.8%, (++)以上2.3%であつた。
3) なお1週後も何らかの陽性反応を認めた例が6例あり, うちラノリンアルコールが3例で最も多く, 以下, 還元ラノリン2例, ラノステロール1例, 精製ラノリン脂肪酸1例, 部分吸着精製ラノリン1例であつた。
4) ラノステロール(10%), 還元ラノリン(30%), ポリオキシエチレンラノリンアルコール(30%)の腸性率は(+)以上がそれぞれ3.5%, 2.3%, 4.5%, (++)以上がそれぞれ1.3%, 1.3%, 0.9%であつた。
5) 酢酸ラノリンの陽性率は0%であり, また, 酢酸ラノリンアルコールの陽性率はラノリンアルコールよりも低率であつた。
6) 吸着精製ラノリンas isおよび30%の場合, 72時間後(++)以上の明らかなアレルギー反応は430例中皆無で, 精製ラノリンに比しより安全であることを確認した。
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