西日本皮膚科
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研究
von Recklinghausen病患者における神経線維腫の間質の微細構造
—腫瘍の原因は神経·シュワン細胞·線維芽細胞のどれにあるのか—
今山 修平八島 豊入来 敦佐藤 恵実子占部 治邦
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1986 年 48 巻 3 号 p. 491-499

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抄録
von Recklinghausen病患者皮膚から採取した多発神経線維腫を, 結合織と基底膜に重点をおいて観察した。その結果, 本腫瘍は複雑に錯綜してはいるもののある“単位”から構成されていることが明らかとなつた。それは中心にSchwann様細胞の胞体を持ち, ほぼ同心円にその細胞突起と線維芽細胞の突起が交互に層状に配列され, その間を結合織が埋めるという“同軸ケーブル”のような構造であつた。間質の増加とともに線維芽細胞突起はさらに伸展されるのに対し, Schwann様の突起は変化せず相対的に小さい突起にとどまつた。この突起は神経軸を含んでおり, この細胞周囲の基底膜は過剰に産生され胞体を離れて, しばしば間質へ伸び, また基底膜上のanionic sireの分布, 酵素処理による消化も不規則であつた。また間質にはエラスティカが存在する。以上の所見より, 本腫瘍の第一義的異常を神経の側に求めて組織像と臨床を解釈した。
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© 1986 日本皮膚科学会西部支部
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