西日本皮膚科
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研究
宮崎医科大学皮膚科における放射線皮膚障害43例の検討
岡崎 美知治成田 博実緒方 克己井上 勝平
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1986 年 48 巻 4 号 p. 693-699

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抄録

昭和52年11月から昭和60年4月までの7年半の間に宮崎医科大学皮膚科で経験した放射線皮膚障害43例について, 臨床的, 組織学的に検討を行つた。
1) 43例中急性放射線皮膚炎は15例, 慢性放射線皮膚障害は28例であつた。
2) 照射原疾患では急性放射線皮膚炎が全例悪性腫瘍であつたのに対し, 慢性放射線皮膚障害では良性疾患群17例, 悪性腫瘍群7例, 職業性4例であつた。
3) 慢性放射線皮膚障害28例中, 組織学的検索を行い得たのは23例であつた。臨床的に多形皮膚萎縮症(poikiloderma)にとどまつている症例でも組織学的には表皮細胞に明らかな癌化はみられないまでも軽度異型性(mild atypia)の所見を呈していた。
4) 組織学的にはmild atypiaにとどまつているもの9例, 表皮内癌6例, 有棘細胞癌7例, 肉腫(MFH)1例であつた。
5) とくに手足部にみられる角化性病変は組織学的に悪性度が高い傾向がみられた。

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© 1986 日本皮膚科学会西部支部
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