抄録
ヒト胎盤より抽出したIV型コラーゲンを家兎に免疫して得た抗ヒトIV型コラーゲン抗体を用い, 2才から85才までの16人の計36ヵ所より採取した健常皮膚の凍結切片について間接蛍光抗体法による検索を行つた。その結果, 表皮真皮境界部, 血管および付属器周囲の基底膜のみならず, 表皮真皮境界部では基底膜直下に, 血管および付属器では基底膜周辺に顆粒状および細線維状の蛍光が認められた。すなわち, IV型コラーゲンの基底膜外における分布が明らかとなつた。この所見は, IV型コラーゲンの真皮における働きや正常および病的状態における基底膜の動態, 代謝を考える上で重要であると考えられる。