1987 年 49 巻 3 号 p. 447-453
61才男子にみられたcutaneous T cell lymphoma(CTCL)を報告した。本症例ははじめの2年8ヵ月間, 多発性に皮下脂肪織炎を繰り返し, 死亡2ヵ月前になつて細胞学的に特異な性格を持つCTCLがあらわれ, 剖検では骨髄·脾·肝·リンパ節に反応性に増殖した組織球による著明なerythrophagocytosisがみられた。このような経過をとったCTCLは稀有のものと思われるので, 脂肪織炎と悪性リンパ腫との関係, さらに悪性リンパ腫に続発したreactive histiocytosisについて文献的考察を加えてこれを報告した。