45才男子の全身皮膚に多発した多形紅斑様皮疹に, 眼瞼結膜·口腔粘膜症状と肝障害, 間質性肺炎を合併した薬疹の1例を報告した。病理組織像は, 表皮型の多形紅斑であり, 諸検査の結果, 発症直前に内服した市販の感冒薬によるものと考えられた。免疫学的な検査ではほとんど異常所見がみられなかつたので, これらの症状は, 非アレルギー性機序によつておこつたものと思われた。その際, 以前よりあつたと思われる肝障害が, 主要な役割をもつたと思われ, 正常では生じない, あるいは生じにくい薬剤の中間代謝産物によるものと想像された。