西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
治療
Dibutyryl Cyclic AMPの皮膚潰瘍に対する臨床的応用
馬野 詠子伊藤 祐成永島 敬士
著者情報
ジャーナル 認証あり

1988 年 50 巻 1 号 p. 130-134

詳細
抄録

Dibutyryl cyclic AMP(DBcAMP)はすでに急性循環不全治療薬として一般に使用され, 強い末梢血管拡張作用を有することがしられている。そこで, 難治性皮膚潰瘍の局所血流の改善を期待して, 水溶性軟膏を基剤として3% DBcAMP軟膏を調製し, 褥瘡4例, 熱傷潰瘍, 放射線潰瘍, livedo racemosa, 外傷性潰瘍(原疾患PSS)の各1例, 合計8例に貼布外用した。結果: 皮膚潰瘍は外用数日後から滲出液の著しい減少と鮮紅色を呈する肉芽増生を認め, やがて潰瘍周辺部から急速に上皮化が進み, 2∼12週で上皮形成が完了した。DBcAMPの皮膚潰瘍に対する奏効機序として, 本薬剤の末梢血管拡張作用に基づく局所血流の改善による肉芽形成促進と, さらにアラキドン酸産生抑制作用による消炎効果によるものが推測された。

著者関連情報
© 1988 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top