西日本皮膚科
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治療
乾癬に対するリザベンの臨床効果の検討
リザベン乾癬研究班
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1988 年 50 巻 2 号 p. 317-325

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抄録

経口抗アレルギー剤トラニラスト[N-(3,4-dimethoxy cinnamoyl)anthranilic acid, リザベン]の乾癬に対する臨床効果を12施設によるopen studyで検討した。観察症例数は総計116例, このうち有効性解析対象は74例であつた。そのうち71例は8週間以上の内服を行つた。また, 併用薬はリザベン投与前のステロイド外用剤をそのまま継続使用, あるいは新患の場合は, 0.12%吉草酸ベタメタゾン(または硫酸ゲンタマイシン配合吉草酸ベタメタゾン)軟膏の使用を許可した。その結果, 最終全般改善度は「治癒」2.7%, 「著しく軽快」25.7%, 「軽快」35.1%と軽快以上の累積改善率は63.5%であつた。有用性については「きわめて有用」8.1%, 「有用」45.9%, と有用以上の累積有用率は54.0%であつた。副作用は解析例81例において14例, 16症状が発現し, 副作用発現率は17.3%であつた。症状としては, 胃腸症状, 肝機能異常, 泌尿器系症状, その他であつた。ほかの報告にくらべなぜ今回の治験で副作用が高率にみられたかは不明であつた。症状別改善度の推移では, 潮紅, 鱗屑, 浸潤·肥厚, 皮疹の新生についてリザベン投与2週後から有意に改善され, そう痒については投与4週後から有意な改善が認められた。

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© 1988 日本皮膚科学会西部支部
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