西日本皮膚科
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研究
水疱症におけるIgG Subclass抗体の水疱形成機序への役割
鈴木 正之矢尾板 英夫渡辺 千絵子
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1988 年 50 巻 4 号 p. 684-691

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抄録

天疱瘡, 類天疱瘡および妊娠性疱疹の患者血清およびそれらより分離したIgG 3画分とIgG 1. 2. 4. 画分を補体成分とともに培養液中に加えて健常人皮膚を器官培養した。その器官培養皮膚の経時的形態変化と免疫組織学的所見(蛍光抗体法)を検討した。天疱瘡の場合患者血清, IgG 1. 2. 4. 画分と反応させると, 表皮細胞間にIgGの沈着と棘融解様変化が認められた。IgG 3画分と反応させると棘融解様変化は認められたが, 表皮細胞間にIgGの沈着は認められなかつた(3/3例)。類天疱瘡の場合, 患者血清と反応させると基底膜部へのIgGの沈着とdermo-epidermal separation(以下DESと略す)が認められた。IgG 1. 2. 4. 画分と反応させると基底膜部へのIgGの沈着は認められたが, DESは認められなかつた。IgG 3画分と反応させると基底膜部へのIgGの沈着も, DESも認められなかつた(3/3例)。妊娠性疱疹の場合, 患者血清と反応させると基底膜への補体(C3)の沈着とDESが認められた(3/3例)。IgG 3画分と反応させるとDESは認められたが, 基底膜部へのC3の沈着は認められなかつた。IgG 1. 2. 4. 画分と反応させると基底膜部へのC3の沈着もDESも認められなかつた(2/2例)。したがつて天疱瘡, 類天疱瘡, 妊娠性疱疹ではIgG subclass抗体の水疱形成への関与機構が多少異なることが示唆される。

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© 1988 日本皮膚科学会西部支部
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