抄録
われわれは7例の難治性下腿潰瘍に対し, 硝酸イソソルビドテープ剤(フランドルテープ, 以下ISDN)の外用による治療を試み, 良好な結果を得た。副作用は1例も認められなかつた。7症例はいずれも下腿の血行障害, 循環不全をきたす基礎疾患があつた。方法はISDNの1/5∼2/3枚を潰瘍周囲に貼付するという簡単なものである。治療前ならびにISDN貼付時, 非貼付時の皮膚温をサーモグラフィーで測定し, ISDNによる皮膚温の上昇が確認された。同様の素材によるプラシーボテープ貼付時との間にも皮膚温の上昇に差が見られ, ISDNによる皮膚温の上昇は, ODT効果によるもののみではなく, ISDNそのものによる血管拡張作用によるものと思われた。また, 3例でISDNの血中濃度を測定したが, テープの1回使用量が少ない症例では, 検出しえなかつた。このため1回使用量が少なければ, ISDNによる種々の副作用は防げるものと推察された。