西日本皮膚科
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治療
成人アトピー性皮膚炎に対するセルテクト錠の臨床的検討
長野 拓三
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1989 年 51 巻 1 号 p. 138-145

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抄録

この度, 新しく臨床に登場した抗アレルギー剤(ケミカル·メディエーター遊離阻止剤)であるセルテクト錠(Oxatomide)を成人アトピー性皮膚炎に用いて, その有用性と安全性について検討を行つた。対象患者は豊中市皮膚科医会会員の16施設に来院した中等症以上のアトピー性皮膚炎で, 治験期間は昭和62年12月から翌年4月までの5ヵ月間であり, 用法はセルテクト錠1日2錠を投与し, 6週間継続投与して, 2週ごとにその臨床経過を追求して評価判定を行つた。結果は, 対象患者総数76人についての有効性は64%であり, とくに痒みに対する効果発現は早く, 併用のステロイド外用剤の使用量も確実に減量でき, 最終の6週目の皮疹改善率も70%以上を示し, 有効性が高い薬剤であることが判つた。また, 前投薬の抗アレルギー剤との比較検討においても本剤の方が30%有効性が高いことも注目される結果である。副作用の点においても4例のみに出現し, それも軽微で一過性であつたので, 非常に有用度の高い薬剤と考えられた。

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© 1989 日本皮膚科学会西部支部
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