抄録
10歳男子の左下腿に生じた悪性黒色腫を報告した。病変は左膝蓋下部の紅色腫瘤で, 病理組織検査の結果, amelanotic typeの結節型悪性黒色腫と診断した。広範囲腫瘍切除術, 左浅鼠径リンパ節廓清術を施行し, リンパ節の1個に転移を認めた。術後, DAV化学療法5クール, ベスタチン1日30mg内服にて加療し現在までのところ再発をみていない。思春期以前に発症する悪性黒色腫の頻度は低く, 前駆症として巨大色素性母斑などが知られているが, 自験例は前駆症を有さず, また, amelanotic typeであり, まれな症例と思われた。