新しく開発されたベンジルアミン系抗真菌薬KP-363(塩酸ブテナフィン)の1%クリーム剤および1%液剤の皮膚真菌症に対する有効性および安全性を検討する目的で, 全国23施設による研究班を結成し, 第二相臨床試験を実施した。皮膚所見ならびに菌検査の結果を考慮した最終総合効果判定の有効率は手·足白癬ではクリーム剤で70.4%, 液剤で70.1%, 股部白癬ではクリーム剤で80.3%, 液剤で81.8%, 体部白癬ではクリーム剤で82.6%, 液剤で80.0%, 間擦疹型皮膚カンジダ症ではクリーム剤で74.3%, 液剤で66.7%, カンジダ性指間糜爛症ではクリーム剤で72.7%, 液剤で85.7%, カンジダ性爪囲炎ではクリーム剤で55.6%, 液剤で80.0%, 癜風ではクリーム剤で78.2%, 液剤で86.2%であつた。副作用はクリーム剤で508例中16例(3.1%), 液剤で168例中2例(1.2%)に認められたが, いずれも薬剤の中止, 薬剤の変更, ステロイド剤を含む抗炎症剤の投与などにより, もしくはそのまま治験を続行するうちに軽快消失した。治療効果および副作用を考慮した有用率は, 手·足白癬では, クリーム剤で68.4%, 液剤で69.0%, 股部白癬ではクリーム剤で82.0%, 液剤で81.8%, 体部白癬ではクリーム剤で87.0%, 液剤で86.7%, 間擦疹型皮膚カンジダ症ではクリーム剤で70.3%, 液剤で66.7%, カンジダ性指間糜爛症ではクリーム剤で72.7%, 液剤で85.7%, カンジダ性爪囲炎ではクリーム剤で55.6%, 液剤で80.0%, 癜風ではクリーム剤で78.2%, 液剤で89.7%であつた。以上よりKP-363·1%クリーム剤および同液剤は皮膚真菌症に対し有用な薬剤と考えられた。
抄録全体を表示