1990 年 52 巻 5 号 p. 896-900
浮腫性の腫脹または紅斑を主たる皮膚症状として当科を受診した2例のhypereosinophilic syndromeを経験した。症例1は, 24歳女子で, 両膝関節痛を初発症状とし, ついで手足に持続性の浮腫性腫脹を生じた。症例2は, 59歳女子で, 躯幹, 四肢に強いそう痒を伴う浸潤性浮腫性紅斑を呈した。2例とも, 末梢血における著明な好酸球増多を伴う白血球増多を認めたが, 他臓器障害を示唆する臨床症状や検査異常は認めなかつた。病理組織学的に2例とも浮腫性病変部に, 好酸球の比較的密な浸潤と脱顆粒, その顆粒の膠原線維束周囲への沈着と, それを取り囲むような組織球の浸潤が観察された。