西日本皮膚科
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症例
原発性マクログロブリン血症に合併したSweet症候群
梅林 芳弘行木 弘真佐斎藤 義雄田澤 立之岡 裕爾高橋 敦
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1990 年 52 巻 5 号 p. 901-905

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抄録

57歳女子。1988年9月原発性マクログロブリン血症, 1989年6月アルコール性肝硬変の診断を受け内科通院中であつた。1989年8月27日, 40℃におよぶ発熱とともに顔面, 四肢に有痛性の浮腫性紅斑が出現し, 一部に水疱を伴つていた。汎血球減少と白血球の核の左方移動, ESR亢進, CRPの上昇を認めた。喀痰, 血液培養で細菌を検出。皮疹は組織学的に真皮の好中球を主体とする細胞浸潤が著明でSweet症候群と診断した。皮疹の消退にはPSL40mg/日を要した。悪性腫瘍に伴うSweet症候群は調べ得た限り現在まで70例(自験例を含む)の報告がある。そのうち55例は造血器系腫瘍との合併であり, 急性骨髄性白血病が26例ともつとも多く, myelodysplastic syndromeが14例とこれに次ぐ。リンパ球系の腫瘍は7例で, そのうち多発性骨髄腫が2例, 原発性マクログロブリン血症との合併の報告は自験例が初めてと思われる。これら悪性腫瘍におけるSweet症候群の発生機序について考察を加えた。

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© 1990 日本皮膚科学会西部支部
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