西日本皮膚科
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症例
掌蹠膿疱症を併発した尋常性乾癬
—扁摘後掌蹠病変のみ治癒した1例—
中村 猛彦小野 友道
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1991 年 53 巻 2 号 p. 232-235

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抄録

尋常性乾癬の加療中に掌蹠膿疱症(以下PPPと略)を併発した症例を経験した。患者は76歳男子, 約25年前に尋常性乾癬の発症を認めた。発症13年後, 突然掌蹠に膿疱が多発し, 併せて咽頭部の発赤疹痛が出現。皮疹の消長が咽頭症状の活動性に並行していたため病巣感染が関与したPPPの合併を疑い扁摘を施行した。扁摘後, 掌蹠の皮疹は急速に消退し, 術後現在に至るまでまったく再発を認めていない。一方PPPの発症, 扁摘前後の全経過を通じ乾癬皮疹に著変は認められなかった。PPPと尋常性乾癬の異同については両疾患の発症機序が充分に解明されていないため, いまだ明確な結論が出ていない。ここでわれわれが報告する症例では先行する尋常性乾癬にPPPが併発し, その症状経過や治療に対する反応性において両疾患の分離が認められた点がきわめて特徴的である。

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© 1991 日本皮膚科学会西部支部
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