西日本皮膚科
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症例
Nodular Fasciitis
広川 政己水元 俊裕川岸 尚子橋本 喜夫松尾 忍飯塚 一
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1991 年 53 巻 2 号 p. 240-244

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抄録

38歳男子の右大腿に生じたnodular fasciitisの1例を報告した。臨床的には自覚症状を欠く直径3cm弱の弾性やや硬の皮下腫瘤で, 約1ヵ月で急速な増大傾向を認めた。外傷の既往はない。病理組織学的には筋膜との明らかな連続像は認められないものの, 線維芽細胞様細胞の浸潤性増殖, 粘液様変性像, 多核巨細胞, 核分裂像および赤血球の血管外溢出などを認めnodular fasciitisの組織像にほぼ一致していた。切除後再発は認めていない。特異的な臨床像のない本症の診断にあたっては, 発症後比較的急速に大きくなるため病悩期間が約1ヵ月と短いことと, 切除後に再発をみないことが比較的重要な所見であることが伺われた。組織学的にはmyxoid malignant fibrous histiocytomaとの鑑別が重要であると考えた。

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© 1991 日本皮膚科学会西部支部
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