西日本皮膚科
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症例
脂腺腺腫
—電顕的および免疫組織化学的観察—
徳橋 至村上 正之芹川 宏二鈴木 秀美佐藤 光浩下田 祥由高桑 俊文
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1991 年 53 巻 2 号 p. 259-262

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抄録

脂腺母斑とは無関係に生じる真性脂腺腺腫は本邦では自験例を含め10例しか報告されておらず, その詳細は不明な点が多い。症例は62歳男子。左肺癌の治療中に前額部に小豆大の丘疹出現。転移性皮膚癌を疑い切除, 組織学的に成熟脂腺細胞が主体を占める脂腺腺腫であった。電顕的観察では腫瘍辺縁部に比較し, 中心部で成熟した多数の脂肪滴を含む細胞を多く認めた。抗EMA(epithelial membrane antigen)抗体を用いた免疫組織化学的染色では成熟脂腺細胞は陽性, 移行細胞や基底細胞様細胞は陰性であり脂腺細胞の成熟度の指標となり, 脂腺腺腫と脂腺上皮腫の鑑別に際し有用であると思われた。

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© 1991 日本皮膚科学会西部支部
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