西日本皮膚科
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研究
全身性鞏皮症における抗Scl-70抗体(抗トポイソメラーゼI抗体)の臨床的有用性
前田 学鹿野 由紀子森 俊二
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1991 年 53 巻 3 号 p. 548-552

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抄録

54例の全身性鞏皮症(PSS) 患者の凍結保存血清を用い, ENA-3(MBL社)で抗Scl-70抗体の検出を試み, 同時に抗RNP抗体(ENA-1), 抗SSA/SSB抗体(ENA-2), 抗セントロメア抗体(ACA)(フルオロCENTROスライド)および抗核抗体(フルオロHEPANAテスト)も測定した。対照として, non-PSS群(SLE, DMなど19例), 非膠原病群(皮膚病患者31例), 健常人群(47例) についても同様に測定した結果, 抗Scl-70抗体はPSSの9例(16.7%)にみられたが, 他群には認められず, 特異性の高いことが証明された。また2回以上, 年月の異なる血清を測定しても7例全例陽性であった。抗Scl-70抗体陽性PSS群を, 他の自己抗体陽性ないし陰性群と比較すると, pitting scar, 拘縮, 色素沈着および肺線維症の頻度が有意に高く, VC(%) や%DLco値も有意に低いことより, 重症型であると分った。このことより, 抗Scl-70抗体の測定はPSSの重症度の判定に有用で, 経過観察にも有益であるといえる。

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© 1991 日本皮膚科学会西部支部
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