西日本皮膚科
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治療
シクロスポリンの乾癬に対する長期投与の検討
中川 秀己石橋 康正
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1991 年 53 巻 4 号 p. 837-844

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抄録
従来の治療に抵抗性となった乾癬患者および副作用のため従来の治療を中止せざるを得なくなった乾癬患者計12例に対しシクロスポリン(以下CYA)を長期投与し, その臨床的有用性を検討した。CYAは症例に応じて2.5∼5mg/kg/dayの投与量より開始し, 臨床効果, 血清クレアチニン値および血圧などの変化をみて増減した。20∼64週間(平均41.3週間)の連続投与を行った10例では, 投与終了時に9例が「改善」以上であった。また, CYAにより皮疹の十分な改善が得られたため, CYAを一旦休薬し再投与を行った2例では, 初回投与終了時および再投与終了時において2例ともに「改善」以上であった。また, 副作用は, 連続投与10例中4例に, 間歇投与例では2例ともに認められ, 主なものは, 全身倦怠感, 血圧上昇, 多毛などであり重篤なものはなかった。以上の成績より, CYAは慎重に投与すれば難治性乾癬の緩解維持療法剤として有用であると考えられた。
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© 1991 日本皮膚科学会西部支部
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