教室の過去13年間の基底細胞癌(basal cell carcinoma, BCC)85症例を臨床·病理学的に検索した。病理組織学的に85症例(95病理組織·再発例をふくむ)は1) solid-circumscribed 24, 2) solid-infiltrative 25, 3) keratotic 17, 4) adenoid 6, 5) superficial 4, 6) BCC with sebaceous differentiation 2, 7) baso-squamous BCC 4, 8) fibroepithelioma 1であった。
1) solid-circumscribedとsolid-infiltrativeは病理組織学的のみならず, 臨床的にも後者は再発性, 局所侵襲性であり区別されるものがあった。
2) solid-circumscribed BCCでは病巣中に毛包分化性構造であるsquamous eddyの存在を認める場合が少なくなかった。Squamous eddyの存在は, また, keratotic, 一部のadenoid, adamantinoid BCCにおいても認められた。
3) BCCは大別して局所破壊性, 再発性のa) aggressive type(solid-infiltrative, baso-squamous BCC)およびb) 臨床·病理組織学的にもnon-aggressiveな毛包分化性BCC(分化段階からsolid-circumscribed, 一部のadenoid, adamantinoid, BCC with sebaceous differentiation)およびエクリン·アポクリン分化性BCCに大別され, その区別はBCCの病態, 臨床, 治療において意義があると結論した。
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