西日本皮膚科
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研究
Ketotifenの抗炎症作用機序の検討
赤松 浩彦朝田 真木西嶋 攝子朝田 康夫丹羽 靱負
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1992 年 54 巻 2 号 p. 293-296

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抄録

抗アレルギー剤の1つであるketotifenの好中球由来活性酸素(reactive oxygen species: ROS)産生能に及ぼす影響を, superoxide radical anion, hydrogen peroxide, hydroxyl radicalについて検討した。またcell-freeのROS産生系であるxanthine-xanthine oxidase系についても調べた。その結果, ketotifenは好中球系において3種類のROSを濃度依存性に抑制することが判明した。一方xanthine-xanthine oxidase系では, ketotifenは3種類のROSに対して全く影響を及ぼさなかった。これらの結果より, ketotifenは産生されたROSに対してscavenger(捕捉除去)作用を示すことによってROSを低下させるのではなく, 細胞機能に作用することによりROS産生を抑制し, 抗炎症作用を発揮すると考えられた。このことは, ketotifenが好中球による炎症を伴ったアレルギー性疾患に対して有効である可能性を示唆するものと思われる。

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© 1992 日本皮膚科学会西部支部
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