幼児のアトピー性皮膚炎患児の中で, ステロイド外用療法継続中にもかかわらず, その症状が持続しているものを対象に, レピリナストの併用を試みその有用性を検討した。レピリナストの用量は, 一日用量を体重あたり平均8mg/kgとし, 投与期間は12週間とした。試験では, 観察日から4週間ごとに, ステロイド外用剤軽減効果と皮膚所見の改善を指標として観察および評価を行った。その結果, 以下の結果が得られた。
1. 総症例29例のうち, 安全性については28例を, 有効性·有用性については26例を解析対象とした。
2. ステロイド外用剤軽減効果では, 有効性解析対象26例のうち, ステロイド外用剤軽減効果「有効」とされたものが13例(50%)であった。その中でより弱いステロイド外用剤へランクを変更できたものは4例あった。また, 同一薬剤の使用量を25%以上減少できたものは9例あり, そのうち50%以上減少できたものは4例であった。使用量の推移をみても有意な減少が認められ, その平均減少率は30.9%であった。
3. 皮膚所見の経時的改善度は, 投与12週で「改善」以上30.4%, 「やや改善」以上82.6%であった。
4. ステロイド外用剤軽減効果と皮膚所見の経時的改善度を勘案して判定した最終全般改善度では, 「改善」以上34.6%, 「やや改善」以上76.9%であった。
5. 副作用および臨床検査値の異常変動は1例も認められなかった。
6. 以上より, ステロイド外用療法継続中の幼児アトピー性皮膚炎の患児に対してレピリナストを併用することは, 皮膚所見の改善とともにステロイド外用剤軽減が期待され, 有用性の高い治療法であると考えられる。
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