西日本皮膚科
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治療
アトピー性皮膚炎に対するレピリナスト(MY-5116)の長期内服によるステロイド外用薬のランク軽減効果の検討
吉田 彦太郎長戸 紀岡田 茂西本 勝太郎本田 実大野 まさき藤田 和夫鳥山 史清水 和宏村山 史男
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1992 年 54 巻 2 号 p. 342-349

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抄録

ランクIII(strong)以上のステロイド外用薬を平均3.4ヵ月の間継続使用していながら, 一定の皮膚症状が持続しているアトピー性皮膚炎患者を対象に, レピリナストを1日300mg·12週間併用し, ステロイド外用薬のランク軽減効果について検討した。
1. 総投与例数24例のうち, 安全性については24例全例, ステロイド外用薬のランク軽減効果については13例をそれぞれ解析対象とした。
2. 最終的に, ステロイド外用薬のランク軽減に成功した例は13例中7例(53.8%)であり, ランク軽減度の内訳は, 1ランク軽減: 1例(7.7%), 2ランク軽減: 4例(30.8%), 非ステロイド系外用薬までの軽減1例: (7.7%), 一切の外用療法から離脱し得た例1例: (7.7%)であった。これら7例全例においてランク軽減後の皮膚所見の改善は維持されており, かつ, ランク軽減後にステロイド外用薬の使用量が増量されておらず, むしろ軽減後に使用量が25%以上削減された例が5例(38.5%)あった。
3. 1例に投与開始2日目より悪心·嘔吐の発現を認めたが, レピリナストの内服中止により軽快している。他の23例(95.8%)には, 安全性上の問題は認められなかった。
4. 以上の結果より, ステロイド外用療法の長期継続にもかかわらず一定の皮膚症状を持続しているアトピー性皮膚炎患者に対して, レピリナストを併用することにより, より弱いランクの外用薬への切り換えを可能にする, 新しい治療法の可能性が示唆された。

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© 1992 日本皮膚科学会西部支部
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