西日本皮膚科
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研究
金製剤の薬疹におけるアレルギー機序の関与
古賀 哲也今山 修平橋爪 民子古村 南夫今福 信一堀 嘉昭
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1992 年 54 巻 3 号 p. 513-519

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抄録
66歳女子の金チオリンゴ酸ナトリウム計350mg投与後に生じた脂漏性皮膚炎型薬疹について以下の検討を行った。同薬剤によるパッチテストは陽性であったが, リンパ球幼若化試験は陰性であった。組織学的に皮疹部位では, 表皮に細胞間浮腫, リンパ球の表皮内浸潤, 真皮上層に主として血管周囲性のリンパ球と好酸球の浸潤がみられた。免疫組織学的には表皮細胞間にHLA-DR抗原の発現がみられ, また真皮の浸潤細胞の主体は, CD4陽性T細胞であった。パッチテスト部位の組織学的所見も皮疹のそれとほぼ同様であった。患者末梢血単核球を同薬剤の存在下で72時間培養した。培養上清中には, IFN-γと好酸球遊走活性が認められた。以上より本症例では皮疹発現の過程に薬剤特異的T細胞から産生されたサイトカインが関与している可能性が示唆された。
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© 1992 日本皮膚科学会西部支部
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